ACT.111 黒紅の墓標


『お・・・お前ダな!?
 ヒルダンテス様と同じ刻印を持つ子供とイウノは!
 トゥウェルブっ!殺せッ!!』

『ギガアアアッッッ!!!』

ドドドドッッ!!

『ギ・・・るアアアッ!!!!あ・・・?』

「お前の相手は僕だ・・・そしてもう攻撃は出来ない。」

『――――――????』


チンッ!


「神刀流抜刀術、神羅劫劉閃。」

『グギアアアアアッッッ!!!!』

高速斬撃―――。
その太刀筋を見ることさえ叶わない。

『なぁっっ!!そんナァッ!!トゥウェルブまで!?』

「リノン!やんで!俺に続いて撃て!」

拳を大地に突き立てる。

「土遁!」



ショウリュウ カン   ジン
昇 龍 貫 刃 !



『――――――うああああああっっ!!!』

龍の如き土石が小悪魔を上空へと吹き飛ばす。

「レギンっ!」

更に光となったワルキューレの全ての魔力を持って、
逃げながらも障壁を張る小悪魔を貫く―――!

『―――ぶがっ!』



ブシュウウウッ!!!



『嫌だッ!!イヤダッ!!アアアアッッ!!』

堕ちない―――。
足掻き、叫び、そして何かが変わる―――。


「「「!」」」

「何や!?」


『嫌だ・・・死ね!!死ね!!死ね!!
 死ね!!死ね!!死ね!!死ねぇぇっ!!!!暗黒、消滅、彷徨、終極の宴ぇッ!』

「この詠唱は“パンデモニウム”!」

それはキッドやソウジといった、
魔術師以外でも知っている程の禁忌たる禁忌、
最悪の呪いの塊の魔法―――。
撃たれれば、あらゆる痛みを伴って冥府に送られる。

「(チッ!)
 しゃーないなぁッ!!」

『終わり、終わり、終わり、終わり、終わり、終わり、終わり、終わり、終わり!!
 滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅滅!!!塵塵塵塵塵塵塵塵塵塵!!!』


ダンッ!


「ブラッド!?」

「ブラッド君!?」

「詠唱はあと・・・どれだけや!?」

先の土遁術で作られた岩の階段を上り、
逃げ続けながら詠唱する小悪魔に近付く。

「! あと二節!!」

『怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨怨!!!!!』

「五月蠅いわ、ボケ。」

黒い十字架を小悪魔に押し当てる。

『あがッ!!?』

「終わりや。」




動きが―――             止まる。




『オまえ・・・ッ!!?』

ズブッ!!

『うあ・・・・・・?うああああっ!?』

「ちょっ!体が!?」

巨大化―――いや、風船の様に肥大化している。

『うぶっ!!!あぎゃっ!!』

「ふ、膨らんでる!!」

「な・・・な・・・・・・こんな・・・・・・」

『うあぎゃあはあああっっ!?!あぶあああっ!!』

暴れ狂う小悪魔。
内臓が、骨が、筋肉が、全てが膨張し続ける魔力に圧迫される。

「よぉ、覚えとけ・・・・・・」

小悪魔の両手と脳天、足から血が吹き出し始める。

「“お前ら”全員血祭りに上げたる。」



ブシュウウウ     ウ  ウ  ウウウッッッ!!!!



「「「―――――――――!!!」」」

「これがお前ら魔界の墓標・・・・・・」


黒き十字を以って生まれるは紅き十字―――


「・・・・・・ブラッディクロス・・・・・・
 逝け・・・・・・・・・その眼にしかと焼き付けてな。」