ACT.21 覚醒する炎
「キ・・・キッド・・・!!」
「・・・・・・・・・―――――――――。」
返事が無い―――紅い魔力に包まれ、雰囲気が全く変わってしまっている。
『・・・確か・・・5日前だったか・・・・・・?なるほど。』
バチッ・・・!!チッ・・・!!
『・・・第一次適合覚醒が始まる・・・ならば、早々に宿主は殺すとしよう。』
「・・・・・・出て来い・・・・・・」
「え・・・?(声の雰囲気が・・・キッドのと違う・・・)」
『チッ、見ているな、“シルフィード”!このままではあのアホが死ぬ!』
キッドに向かうヒルダンテスを牽制すべく風を放つ。
『取らせはしない。』
『・・・守りの風か・・・邪魔立てはさせん・・・第一段階の覚醒・・・
その状態になってから宿主を殺した方が私にとっては都合がいいので』
「アアアアアアアアアアアッッ!!!!」
『なっ・・・・・・!!!』
キッドが有り得ない程の高さまで飛び上がり、上空で巨大な紅い剣を作り出す。
『まさか・・・・・・!』
『龍に精神を奪われている・・・!?』
「オオオオオオオオオオッッッッ!!!」
巨剣を振り下ろす!
『ぬっ・・・!!“カンナカムイ”・・・ブレイドだ。』
バキッイイィィィッッ!!!!
「オオオオオオオオオッッッッ!!!!」
『ぐっ・・・!!(初めて、カンナカムイと同等の
フレイムドラゴンと対峙してみたが・・・!これ程とはな・・・!)』
衝撃が相殺され、互いに吹き飛ぶ。
『―――――――――ァアッ!!』
「―――――――――ォッアッ!!」
更にぶつかりあう。何度も―――!
「ど・・・どうなってるの!?キッド様が戦っている様には見えないョ!」
「どうと・・・言われても・・・」
「意識が無い・・・龍に精神を奪われている・・・と言っていたが・・・」
「キッド・・・ッ!!」
チャッ・・・!
「3人は下がっていて下さい。」
『・・・刻印を持つ者でなければ、いかに神速剣のソウジと言えども・・・』
ロックハートが制止する。
「借りは返さないと・・・ね。それにキミもあの男を倒す事には変わりないだろう。」
『・・・・・・分かった・・・チャンスは龍とアホが気絶している今だけだ。
あの男を一時退けば、そのアホの暴走は止まる。
あの男は脚は速いが剣はそれ程ではない・・・イムラ。お前には牽制』
「そこまで言われなくても僕のやるべき事は決まっている。
君はキッドの様子を伺っていてくれ。」
衝撃の反動で動けなくなっている所に走りこむ。
『―――聞いているぞ・・・?お前がそうなのだろう・・・?カエデ・イムラの弟よ。』
「姉さんを・・・・・・やはり、姉さんを知っているのか、貴様!!」
ズォッッ!!!
『・・・・・・ほう・・・(魔力ではなく・・・殺気でこれ程の・・・)』
「疑わしきは全て滅する。」
小太刀を納め、太刀を右手に持ち、刺突の構えで半身を引く。
「神刀流・・・奥義・・・!!」
『・・・疑わしきは全て滅するか。理解出来る考え・・・ッッ!!』
「神羅!!!」
瞬間的に上半身を捻る。
更に大地を弾き、消える―――!
(・・・ソウジ様・・・!)
(神刀流奥義・・・出ますよ。)
キィィ・・・・・・・・・イイイイインッッッ!!!!
「貫く!」
鍔鳴り・・・その直後に、ソウジと男の立ち位置が変わっていた。
『・・・ククッッ・・・・・・』
「・・・・・・・・・左手一本・・・・・・暫くは動かせないだろう。」
ブシュウウッッ!!!
『・・・っ。クク・・・・・・ハハハハ・・・ハハハハハハハハ!!!』
「な・・・何よ・・・アイツ・・・」
「・・・貫かれても・・・笑っていられるなんて・・・」
『なるほど・・・この国にはこれほどの腕を持つ剣士が居るか・・・!
だが・・・もう遅い・・・最初から貴様たちは出遅れている。』
「何・・・・・・」
『まさか・・・貴様・・・!やはり俺の睨んでいた通り・・・!』
『・・・姫君は暫く諦めよう・・・だが・・・この国は諦められんな。
救いたくば、急いで戻るがいい・・・・・・そのときには既に・・・』
フッ・・・!
『ヒルダンテス・・・!!貴様ァッ!!』