ACT.1 プロローグ/物語の始まり


魔物の襲撃―――

10年以内の周期で繰り返される事が多い。

かつて建国当時の領土で最南端であった事が由来する、
俺の住むこのビサイドもまた大規模なそれに見舞われていた。


「高等生は師範に続いて、下級生を助けっ」

“ガアアアアアッっっっ!!!”

グシャッッ!!!

「ぐっ!!!    ぎゃあああっ!!!!」


「「「先生――――――――!!!」」」


魔物はこの星、ガイアの地下世界とも言える場所に巣食う人間以上の雑食生命体。
奴らが人間の町を襲うのは、本能から来る単純な食欲による。


“グ・ガ・カ!!”

ドッ!!!ギャアッッッ!!

“・・・・・・グルッ・・・・・・”

「「「な・・・・・・・・・!!」」」


半端な力では抵抗しても無意味―――
けれど、この星に住んでいる殆どの生命体には“魔力”、
つまり人間や魔物には魔法を扱う為に必要な力が備わっている。

だけど、魔物を一撃で倒せるような魔法を扱える人間なんてのは
学校で魔法を専攻している魔術士や軍に仕えているような魔術師ぐらいだ。

刀や槍での近接戦闘で勝てる人間もいるけれど、
それは確かな実力・・・それこそ軍隊に所属していたり、
でなければ、その魔物に対しての効率的な倒し方を知っていなければ確実に死ぬ。


「み・・・みんな・・・・・・」


けれど、そんな人間ばかりがいるわけじゃない。

魔物もその事を知っている。
だから、町が襲われる時に真っ先に狙われるのは、
最も魔物を倒せる可能性のある人間が集まる、学校だ。

若く運動能力も最も高い時期で、
実力はまだないとはいえ魔術士が大勢いるこの場所は
魔物にとっては国の騎兵隊の次に面倒な存在―――・・・

何より・・・


「!!」

“グゥ・・・・・・”

「冗談じゃねェ!!!」


16歳、17歳なんてのは人間が一番美味い年齢だから―――


「死んで、たまるか!!みんなの仇を取る為にも!」


自分たちにとって面倒な存在だから大きな学校がある町が襲われるんじゃなく、
単純に若い人間が多いからこのビサイドは今、襲われている。

ただ、今までと違ったのはたった3年で襲ってきたという事―――

けれど今はそんな事はどうでもいい・・・


「・・・・・・授業で居合いするから真剣持ってきててよかったぜ・・・」


チャキッ!


「ちったぁ、使えるからな。」

『グゥ・・・・・・』

「テメーを直ぐに倒して、あいつを助けにいかねぇとなんねぇんだよ!!!」

目の前の魔物に向かって走り、魔術科のある棟を目指す!

「どけええっ!!!!」

『がっ?!』

ズブゥっ!!!

『グブ・・・っ?!』

突き刺さる刃に身動きが取れない・・・

「母さんは3年前に死んで・・・2年前にはオヤジが戦争で死んだ・・・
 俺まで・・・死ぬわけにはいかねぇんだよ!!!」


ザ・・・ンッ!!!