ACT.2 プロローグ/呼ぶ声
「はー・・・っ・・・はー・・・っ・・・」
たッ・・・!
「キ・・・キッド!?あんた、どうしてここに居るの!?何で逃げてないのよ?!」
目指した方向(魔術科の棟)から逃げてきた少女が駆け寄ってくる。
「リノン!良かった、無事だったんだな・・・!」
「って、答えになってないって!」
「お前らを助けに来たんだよ。さっきも魔物をぶっ飛ばして・・・」
お陰で傷だらけ、服はボロボロ・・・血も滲んでいる。
「た、助けに来たって・・・騎兵隊は来てないの?!」
「んなこた、どーでもいいから、逃げ」
ドォンッッッ!!
「「――――――――――――っ。」」
“アグガアアッッ!!!”
強靭な爪が振り回され、
「「「うぎゃああっっっ!!!」」」「「「「ああああっっっっ!!!」」」」
眼前で血が舞い散る・・・雨の如く・・・それらを散らしたのはクラスメイトや町の住人たち・・・
「み、みんな・・・っ!!」
グチャ・・・くちゃ・・・っ!
“グゥ・・・”
それらバラバラになったモノを魔物は食べる。
「・・・あ・・・あぁ・・・・・・ミネ・・・ユイ・・・・・・・・・っ!
・・・そんな・・・・・・・・・いやあああああああああっっっっ!!!!」
「リ・・・リノン・・・逃げるぞ!殺される!!」
「あぁ・・・あ・・・あ・・・」
腰が抜けて動けない―――・・・
“ぐちゃ・・・がはぁ・・・っ!!人間・・・・・・喰う。”
「(殺される)――――――ッ!」
ガッ!!
「リノン!とにかくあっちへ走れ!!」
「は・・・・・・走れないよ・・・・・・」
「もたもたしてたら、俺達も殺されるんだぞ!?」
無力・・・・・・
「!?」
・・・人間の力の無さ・・・・・・
「だ・・・誰だ・・・!?」
「どうした・・・の・・・?」
弱者は・・・強大な力を前にした時、
戦う事すら出来ず・・・戦う事も思わず・・・ただ、逃げ惑うのみ・・・
「な・・・何なんだ!誰だよ!俺に話しかけてきてんのは!!」
・・・貴様・・・ヤツと同じく、剣を使うと見る。
だが・・・貴様が倒した魔物は僅か4体・・・悔しいとは思わないか・・・?
学んでいる事が全く生かされていないと云う事に・・・
「く・・・悔しいのは当然だ!!けどな!分相応ってもんが!」
それは力の無い者の言い訳にしか過ぎぬ・・・
ならば、どうすればいい・・・・・・?
答えは実に簡単だ・・・・・・強大なる力を手に入れる・・・
「な・・・何が言いたいんだ・・・」
「キッド・・・!!ま、前っ!!」
・・・我の力を使え・・・そして弱き者を死に至らしめるものを潰せ。
破壊や殺戮、守護・・・・・・我が力、何の為に使おうとも構わぬ。
ただ、我が力を持って、そして己のただ1つの信念と共に戦うと誓うのならな!!
女を守りたいのなら、その脆弱な腕を天に翳せ!!!
バッ!!
「弱いだの何だの言われてムカつくけど、守りたい!!生き延びたい!!!
テメェの力って奴、貸してもらうぞ!!」