ACT.102 零
「異世界・・・だと・・・!?」
『ソウ・・・こノ世界のパラレルワールドの1つダヨ・・・
でも、これ以上言ウとヒルダンテス様に殺さレチャウかラ。
クすくス、ソノマま死んで閻魔様に聞イテね。』
「「パラレル・・・・・・?」」
「・・・・・・フン・・・
こんな時に気にする方がどうかしていたな。」
ザリッ!
「貴様らを殺して、ヒルダンテスに直接聞けばいいだけだ。
それまでは辛抱してやる。」
15mほど距離を取りながら、体勢を整える。
相手の動きは思った以上に速い。
それに加え、この小悪魔が何かするかもしれない。
だが、15mは一介の剣士にとってはリーチとは決していえない距離。
あえて、そこまでロックハートが離れたのは
「・・・・・・同感だね。
今どうこう聞いたって、大して状況は変わらないし、
僕らがやるべき仕事は他にある。」
『・・・ハーバード!やルンダよ!!!』
『オオオオオオオオッッッ!!!!』
「・・・遅い・・・・・・」
15mの間合いなどロックハートにとっては
近接戦闘時のリーチに等しいから、それだけだ。
『ぐ!!』
ザ シュッ!!!
『がふ・・・・・・!!!?』
なぜ、斬られたのか理解できない。
まだ10mも前に居たはずだと言うのに斬られた。
『ぐ・・・ぅうう・・・!』
「貴様など力だけの阿呆だ。
様子見してやってはみたが、とんだ噛ませ犬だな。」
『?!』
「俺をそんな超重量武器で殺したいのならイムラを越える脚で来る事だ。」
再び砂埃と共にロックハートの姿が消える。
『・・・・・・ドコ!だっ!』
「とりあえず、その外殻の真価を問わせてもらう!」
キョウ ゴク セン レツ ザン
劫 獄 尖 烈 懺 ! ! !
『――――――――――――な・・・ぐ・・・っ!!!』
刺突連撃を超至近距離で当てるが・・・
「・・・やはりな。この近距離でもその程度の血飛沫・・・
妙な力で障壁が出来ているのか・・・ならば・・・」
『来るゾ!もっと考エろッ!!』
小悪魔が呻く。
それに反応してハーバードの眼が血走る―――。
もはや、この錯乱はバーサーカーと言ってもいい。
だが、小悪魔が彼を操っているとは思えない。
操るのであれば、姿を見せる必要はないからだ。
むしろ、対魔力の補助を行うサポーターと考えられる。
『カアアアアアアッッッ!!!』
だが、ロックハートにとってそれも意味のないこと。
「・・・・・・俺のとっておきで殺してやる。」
納刀した刀を腰から外し、抜刀の構えに移行する。
「本来ならあの男を斬る為のものだが・・・試し斬りは必要だからな。」
『死、ね!!サイ・リゲルゥッ!!!』
迫る狂気―――!
同じくこちらからも迫る!
「・・・・・・・・・(あと3メートル。)」
まだだ。
「なっ、何時まで近付いているんだ!速く抜刀したまえ!!」
「あの動作・・・初見の技です・・・!!」
あと2m34cm。まだ。
『ヴオオオオオオッッッ!!!!』
2m―――ハーバードの間合いに入る同時に大斧が振り下ろされる。
それを見切ろうとせずに更に懐に飛び込む。“まだ”、抜刀はしない。
『ぬむっううう!?(下ろした所で、当たらぬ!!?)』
「・・・逝け。」
そして、接点が近付く―――
『―――――――――!?』
・・・チンッッ!!
「・・・・・・何処を見ている・・・?」
『あ・・・・・・!?』
「「――――――!?」」
『アグブッッ!!』
ブシュ ウゥ ウウ ウウウウ ウウウッッッッ!!!
『グガハァッッ!!!あぐ・・・・・・ウウウッ!!』
血の噴水―――!
『な・・・何ナンダよ!?見エナカッたぞ!!!』
「・・・死ぬ前に己を殺した男の名とその技の名を知って逝け。
俺の名はロックハート・クラウン。」
そして、殺した技の名は逝狼(ゼロ)。
ただ分かる事は限界まで刀を抜かぬ超絶の剣技であることだけ。
『こいつ・・・
ヒルダンテス様の話以上ダぞ!!いったん退クよ、ハーバードッ!!』
『ぬぐ・・・・・・ううっ!!殺すッ!!必ず、殺スッ!!
次こそは・・・次こソハ殺す!!!』
ヴ・・・うんッッ!
「チッ・・・
・・・アレを以ってしても言葉を発せられるとはな・・・」
不快だ。
自己の最強の技を使っても生きられている。
最強ゆえに必殺もしくは不能でなければならないと言うのに生きている。
「・・・まぁ、いい。さっさと行こう。
俺達の目的は別働隊を完全に潰す事と総隊長たちの陽動だ。急ぐぞ。」