ACT.105 メテオ


『カハ・・・ァアハハハハハハッ!!!』


ベキキッッ!!ベリッ!!


「な・・・・・・」

「これは・・・・・・何なんだ・・・!?」

右肩や左足から見える今までの素肌とは違う何か―――。

『チッ・・・自分が追い詰められて、姿を現してどうする。』


ドンッッッ!!!


『アハァハ・・・・・・
 人間界でこの姿になるのは久しぶりだねェ・・・』

「・・・姿が・・・・・・変わった・・・」

いや、人型であり、人間とほぼ変わらない―――
だが、その暗い肌と視角化された魔力による人外の部分がある。

『何驚いてるんだィ!?
 これが魔人の真の姿だよ!!怖いのかい!?アハハハハハ!!』

「・・・魔力が違うだけであとは人間と同じとばかり思って居たが・・・」

「・・・あの暗色の肌の色は、強力な魔力に毒された時に現れる症状と同じ。」

『毒されてるんじゃないのさァ!それは皮膚が魔人と同等になりかけてるんだよ!
 魔力に対して圧倒的に抵抗力を持つ外皮にねェ!内臓も同じさァ!
 けど、契約して無いバカな人間だからボロボロになっていくんだけどねェ!』

『チッ・・・(バカ女が・・・余計な事を・・・)』


ザッ・・・・・・


『人間にこの姿を晒されたのは不覚だけど・・・
 これでやっとメチャクチャにそのムカつく面をグシャグチャに出来るねぇっ!!!!』

「くっ!リカード君。少々、力を出さねばやられるぞ。」

「私もあの術を使います・・・!」


戻れ。


「「?!」」

『・・・ヒルダンテス様・・・』

『何故、戻れと仰るのですか!コイツらはぁっ!』


私が戻れと言っている。戻れ。


『・・・ローズ。ヒルダンテス様の命は絶対だ。』

『ク・・・・・・!くノ一!お前はアタシが殺す!
 それまで待ってな!!アハハハハッ!!ヒャハハハハハハハハッッッ!!!!』


ヴゥ・・・ンッ!


「・・・・・・不覚だな・・・・・・」

「・・・ええ。あのままやり合っていたら、確実に危なかったでしょう・・・
 しかし・・・私たち人間は全く魔界の事について知識が無さ過ぎるようです。」

「・・・天真の君でも知らないのだからな・・・」

「この戦争を終わらせ次第、そちらの方にも手を回すように手配します。」




ほぼ同刻
「これは・・・!来たまえ!」

場所はさきほどまで戦闘していた場所のすぐ近く―――

「予備兵器が妙に少ないと思っていたらこんな所に・・・」

「ロ・・・ロックハートさん・・・これは・・・」

「・・・4年前、トルレイトが実戦投入したという
 広範囲破壊兵器“メテオ”・・・・・・それと同型か・・・?!」

魔法科学の結晶―――
鉄を魔力で繋ぎ合わせ、中身は魔力そのものの爆弾だ。
だが、これはそんな単純なものでは無い。

「・・・何か特殊な点があるのかい?」

「はい、1つの弾頭に小型爆弾を大量に仕込み、
 それを上空で破裂させ、小型爆弾を散らばせ目標地域を焦土と化す小型焼夷弾。
 そのコードネームがメテオだったのです。
 報告では5発の弾頭に含まれた約500万個の焼夷弾によって
 トルレイトに攻め入られたカルサ国は1日でその姿を消したと・・・・・・」

「・・・という事は何かい・・・?それから4年も経っている訳だから、
 その時よりも超強力になっていて、それをあの小さな国に使おうと・・・」

カチャ・・・ッ。

「・・・酷いモノを作るもんだね。」

爆発しないように静かにその兵器を手にとってみる。

「御丁寧にブラックボックスで弾頭が見れない様にしているし・・・
 見られちゃ相当ヤバイ造りになってそうだ。中身・・・見れそうかい?」

「それはリサさんの守備範囲だ。
 魔法による解除は防がれても、物質を操る忍術なら。」

「ええ。行きます・・・
 まずは構成から調べます・・・透遁、千眼。」



ギュオッ・・・・・・!!



「・・・・・・・・・っ・・・!コレは・・・!」