ACT.11 真相探索2
「ねぇ・・・この人・・・」
机の上の写真立てを見つける。
「確か・・・」
ソウジに良く似た、だがとても女性らしい綺麗な人―――
「それは僕の姉さんだよ。」
「「あっ・・・スミマセン・・・」」
全くドアの音も聞こえなかったので驚いた。
「いいんだ。もう3年も前の事だからね。」
「・・・カエデさん・・・だったッスよね。神刀流26代目師範の・・・」
「あぁ。17歳で免許皆伝し、すぐさま総師範に就任した。」
「「17歳・・・」」
今年自分たちがなる年齢でだ。
「・・・まぁ、そんな事より」
ボスッ
「一応、古そうな奴を中心に探してみたが・・・1つ気になる事を見つけた。」
埃だらけの幾つもの資料―――外ではたいてあるだろうにも関わらずまだ埃が出る。
「何スか?」
「・・・これだ。」
「あっ・・・キッドの刻印っぽい絵・・・」
「って・・・何だよ、他にも色々あるぞ・・・!?」
「そうなんだ・・・6つの刻印・・・火、雷、風、水、氷、土の属性・・・
その中に精霊や魔物の力が封じ込まれている・・・と。」
「「!?」」
何がなんだか分からない。
「・・・『聖剣』の物語・・・知っているか・・・?」
「「い、一応は・・・」」
「あの『聖剣伝説』には6つの刻印と最期に現れる究極の力の話がある・・・
ここからが僕の考えだが・・・多分それは・・・」
「ここに書かれてる奴って事ッスか・・・!?」
「・・・あぁ・・・僕の家にはその関係の書物が沢山あってな・・・
それで随分前に興味本位で調べてたんだ。それで思い出した。
僕の先祖・・・イムラを名乗るもっと昔、その伝説と同時期に始まっている。」
「ソウジさんの家は昔から武家だから・・・・・・」
「・・・可能性として、関わっていたかもしれない。
そう考えれば、これがあったのも頷ける。ご先祖が伝える為に書いたのかもな。
だが、正直、何千年も前の可能性もあって良くは分からないし、創作かもしれないが。」
「・・・でも・・・現にこうして・・・・・・ここに書いてある事は本当で・・・
聖剣の話とも繋がってて・・・・・・ちょっと待てよ・・・
俺のこの右手の印がその1つだとすれば・・・・・・」
「もしかして・・・他にも同じ様にどれかの力を持った人がいる・・・!?」
そうなる。というより、その可能性が多いにある。
「・・・あぁ・・・全てかは分からないが1つや2つはあってもおかしくない。
加えて言おう。同時期に封印された力という事は、
解印も同時期に成される可能性が非常に高い・・・
それは前例というものが少なからずあるし、お前たちも授業で習った事もあるだろう。
魔物の大量封印などの話だ。」
「はい、私はちゃんと覚えてます。もちろん、そのときのテストは満点です。」
「流石だね。」
そんな授業あったっけ?と、記憶を辿ってみるが見付かるわけがないキッド少年。
「・・・・・・とにかく・・・キッド。覚悟しておけ。
お前は・・・いや、もう既に関わってしまった僕達3人は・・・
確実に大きな事に巻き込まれていくぞ。」
「「―――――――――。」」
「・・・正直、僕もまだ心の整理は出来ていないし、本当に真実なのかは分からない。
だが、現にお前の元にその内の1つの力が舞い降りている。
その内の1つ・・・でなくとも強大な力であることは間違いないんだ。」
「何かが起こり始めてる・・・・・・」
「・・・魔界との・・・大戦・・・?」
「・・・恐らくは・・・・・・しかし、それ以上かもしれない。」
ザっ
「だが、なんにしても城でお前の力について言わずに良かったと思っている。
言えば確実にお前は、最大の兵器として利用されていただろうからな。
キッド。その力・・・考えて使って行かなければならないぞ。」
「・・・そう・・・ッスね・・・」
「(流石にヘコむよな。)・・・リノンさん。」
「は、はい。」
「・・・キッドを助けてやってくれ。」
「わ、私がですか・・・?」
「当然、僕も協力する。だが、君が一番の力になると思う。」
「・・・ま・・・優等生だしな。」
「(・・・・・・・・・。)
そうね、バカ1人じゃ何にも出来ないし、ソウジさんも困っちゃうし、この私が助けてあげるわよ。」
「テメェ、少しおだてりゃ調子に乗りやがって!!」
「何よー!?少しはありがたく思いなさいよ!」
直ぐに言い合いになるのは“幼馴染”の宿命ともいえるかもしれない。
「おいおい、ケンカはするなよ。
(・・・あの時、本当は見られていた・・・視線は2つ。
1つは城下町・・・僕が気付いている事を承知の上で・・・
1つは・・・遠くからの眼・・・少し調べる必要があるな。)」
「で、どーすりゃいいんかな。」
「え・・・あぁ。とりあえず、ビサイド周辺の軽い魔物を退治すればいいだろう。
治安とその力の扱いに慣れる事が必要だろう・・・
加えて、実戦に慣れることも必要だからな・・・」
「分かったッス。先輩は・・・」
「3日ほど、色々と調べてみようと思う。リノンさん、保護者役頼んだよ。」
「分かりましたー。」
「保護者って・・・ねぇ、保護者役って?」
「アンタバカ?私よ、私。アンタの保護者。」
「殴るぞ!?このボケ!!!」
「女の子をグーパンチなんてする気!?最低ね!」
(おい・・・本当に・・・大丈夫か・・・?)
ちなみに、一番のケンカの原因を作ってるのはソウジだったりする。