ACT.119 ローテルダム危機/仲間
同刻
「・・・・・・(クリス・・・・・・)」
今、どこに居るのか―――
刻印の精霊・シルフィードも分からないと言う。
ただ、死んではおらず、今も危険な状況下には居ないとだけ、
魔力の流れから分かるという・・・
「ロックハートさん。」
ざり。
「・・・・・・どうしましたか、リサさん。」
「相変わらず、ちゃんと寝ないんですね。」
この半年間、共に姫を探し続けてきたが、
この人がまともに寝た事なんてなかったと思う。
「・・・もう習性になりましたよ。クロードはどうしました?」
「ご、5秒で爆睡しました。」
「まぁ・・・奴はかなり頼れますからね。
別に嫌な気はしないですよ。キャラはともかくとして。」
「そ、そうですね。キャラはともかくとして。」
「・・・あの方が御父上だったのですね。拝見した事がなかったもので。」
「・・・義理の・・・ですが・・・
あの時は、落ち着いていたせいか・・・」
「いい事だと思います。とても嬉しそうでしたよ。」
「・・・・・・・・・。」
嬉しかった・・・のだろうか。
むしろ―――――――――
「・・・あの・・・姫には・・・
あなたの事を少しでもお話した事があるのですか?
今まで聞いた事がなかったので。厭な事を聞いているのは承知していますが・・・」
「・・・いえ・・・俺の生まれの事は全く・・・
もっとも、あの戦いの時、ヒルダンテスが口走りましたから・・・
多少は分かっているかと・・・・・・しかし・・・」
ギッ。
「何処にいるんだ・・・
シルフィードも石を見つける事が出来ないでいる・・・
だがそれが・・・・腑に落ちない・・・・・・」
「ヒルダンテスがどうして、姫様をプリンセスとして断定したのか・・・
自分を封じる石以外の名は分からないハズなのに・・・ですよね。」
「ええ・・・・・・もしかしたら、ヒルダンテスは刻印を
俺やキッドより遥かに使いこなし、そういった能力を有しているのかも・・・」
「そうかもしれませんね・・・でも・・・大丈夫ですよ。
必ず、再会出来ます。そうしたら、ずっと一緒に居られます。
だから、そんな顔をしないで下さい。それから、ちゃんと休んで下さい。」
「・・・すみません。」
同刻
『・・・って感じだけど、それで良かった?』
『悪かったね、ユリ。
邪魔者(ヘーハン)を消す段取りが若干違ってしまってね・・・』
だが、消し去った。
ここから修正していけば良いだけのこと。
『いーよ。私たちの目的の為なんだから。』
『それにしてもあのソウジ・イムラ殿を始め、
彼らは武士道精神に満ちていて清清しい。
まだしっかりと手合わせしていないが、“彼”も今後が期待できるな。』
などと言っている場合では無い。
『ショージキなトコ、結構ヤバいんじゃねぇの?
隊の中じゃ、ヘーハンが居なくなったって騒いでる奴も居るし。』
『大丈夫だよ、そんなの騒いでいる間に事が終わるから。
問題なのは彼らが間に合うかどうかだね。』
『情報では追って来ているそうだ。吾輩達より半日ほどの距離だそうだ。』
『うーん。やっぱり、もうちょっとちゃんとしておくべきだったなァ。
でも、監視者が居る中であれなら上出来かな?』
チャッ。
『みんな・・・ここで奴の首を取らなければ、僕らは再び流浪になる。
僕はみんなを信じている。みんなも僕を信じて欲しい。』
『当然だよ、シンちゃんは誰よりも信じられる。』
『吾輩に戦う意味を見出してくださったのだ。何処までも付いて行くぞ。』
『俺のセリフ残して置けよー。
カッコいい事言えないじゃんか。』
『アンタ、私より年上でも頭は14歳レベルだもんね。』
『んだと!?ガキってゆーな!』
《・・・・・・本当に・・・・・・僕は嬉しいよ。こんなに頼れる仲間が居る事に。》