ACT.121 ローテルダム危機/忍ぶる業
10分後
「オらァッ!!何してやがんだっ!!」
ボウッッ!!
“““グギャアアアアアッッッ!!!”””
火炎の連撃!
圧倒的な火力で群がる程度の魔物は消滅して行く。
「おおっ!キッド君、凄いぞ!?」
「まっ。こんなもんスよ。」
「素晴らしいじゃないか!行く行くは、是非」
「隊長さん、コイツが凄いんじゃないです。
聞いてるとは思いますけど、中に入ってるのが凄いだけですから。」
それを言っちゃお仕舞いだ。
「んだと?!この魔力を使いこなすのがどんだけ大変か」
“ギリイイイイイッッ!!!”
「うおおおっ!?」
ザ ンッ!!
“―――――――――ァァッ!!!”
素早い斬撃で脳天から真っ二つ―――。
「こんな緊急事態に夫婦ゲンカとは流石やなァ。」
「「誰が夫婦だ(よ)!!」」
「そーいうトコや。それから・・・姫さん。
その変装は面倒やとは思うけど、我慢して俺の傍を離れたらアカンで。」
「は、はい!私も出来る事はお手伝いします!」
「そら、頼もしいわ・・・・・・
・・・けど、出番は無いで。操糸術<ソウシジュツ>」
十本の指に十本の糸を括り付け、
その先端にクナイを取り付けたモノを魔力により浮かび上がらせる。
“ギィィィィィイイイィイイイィィッ!!!!”
「散れや。氷紋鋼窄<ヒョウモンコウサク>。」
ズシャ! アアッッ!!!
“―――――――――!!”
鋭い一閃と氷の力で切り口が凝結し、再生を阻み壊死させる。
それ以前に、身体を割かれたことでまずは死んでいるが。
「ス・・・スッゲぇ・・・」
「糸だけで斬り裂いちゃった・・・クナイって重りの意味だけ?」
「そのとーり。
操糸術の攻撃に使うんは鋼鐵線や。スパスパ斬れんでェ。」
「姫、この2週間の非礼をお許し下さい。」
「コーデリアはリカードのコトちゃんと分かってるから、気にして無いョ。
でも、その代わり、この町を救って!」
「ハッ!」
「良かったですわね。」
ザッ!
「ああ・・・・・・メノウ、戦えるのか?」
「魔法なら行けますわ。
リカちゃんは水遁が得意でしたわね。でしたら。」
魔本の目当てのページを瞬時に開く。
「収斂する也。」
魔本に綴られた詠唱式を読み上げることで魔力の質が高まり、
霧が生まれ、それが更に集まり水の塊と化し、
「水泡連弾!」
放たれるのは幾多も生まれる泡の如き爆破を伴った連続攻撃!
“ビギャアアアアアッッ!!!”
「リカちゃん!」
言われる寸前から敵陣に飛び込んでいる。
「この魔力量なら・・・」
“殺ゼ!!強い魔力、喰え!!喰う喰う!!”
「行ける!」
メノウが放った水の端に手を当てる。
つまり、メノウの魔力で構成された水に無理矢理、自分の魔力を送り込み、
自己の魔力水としてせいせいしなおしているのだ。
「・・・喰らえ。」
それによって統制された水は8つの噴水と化し、立ち上り
“!?”
ハッ ショウ バク スイ
水 遁 八 昇 爆 水 ! !
“““―――――――――ギィアアアッ!!!”””
その圧倒的な水圧で粉砕する。
「フ・・・・・・!この調子で・・・・・・
メノウ・・・ソウジはどこに行った。」
「え・・・・・・?」
さっきまで後ろ手を任せていたのに居ない。
「・・・まさか・・・・・・ソウジ君・・・!」