ACT.122 ローテルダム危機/外装
ザァ・・・っ!!
「・・・・・・・・・」
ローテルダム城 国王の間
『ほほう・・・・・・
誰かと思えば・・・ソウジ・・・イムラ君か。』
「・・・・・・この一件の首謀者の一人・・・だな。」
『・・・何故そう思う・・・・・・?』
「思うも何も・・・」
一歩詰め寄る。
今がソウジの間合いの最大値―――。
「・・・その魔族特有の魔力が物語っている。
まだ場内にまで来ないと思って、その匂いを消し忘れている。」
『・・・・・・クク・・・
・・・ハハハ・・・ハハハハハハハハハ!!!!!』
「・・・何がおかしい。」
『・・・その鋭さがあったから、カエデ・イムラは死んだ。』
「・・・・・・ラゥム・・・・・・・・・・・・」
ドッッ!!!!
「やはり知っているんだな!!!」
一気に片付ける!
動きを止め、吐かせれば良い。
その為の方法なら如何なる手段も問わない。
『激情化な所もまた、一族である事の印か・・・』
ヒュ バッ!!!
『は・・・・・・!!』
「!」
『遅いぞ、姉より。』
服の繊維を落としただけ―――。
確実に腕を斬ったはずが避けられている。
「―――――――――答えてもらうぞ。
貴様は知って居るハズだ。姉さんを殺した鬼を!」
『いいやァ・・・・・・知っているも何も・・・』
ラゥムの顔の一部が斬撃により傷付き、その皮が落ちる。
「―――――――――!!!!」
同刻
「散れ!片翼の衝撃!」
ゴバッッ! ! ! !
“““――――――――――――!!!!!”””
風の翼とその風圧で霧散する。
この圧倒的な破壊力は守りの力ながら龍の焔にも匹敵する。
『相変わらず凄いですねぇ。その魔力・・・・・・』
「・・・・・・シン・・・ヤマザキ・・・」
『少しばかりお久しぶりです。』
たかだか2、3日前で久しぶりとはよく言ったものだ。
「ロックハートさん。この一体は片付いて・・・」
後ろを任せていたリサがやってきたが動きを止めた。
この少年を知っている。
「・・・この人・・・」
「・・・・・・コイツには少し用がある。
4分だけ待っていてください。」
チャッ・・・・・・
『あれ・・・?
こんな時にやり合うんですか?』
本気で意外そうな顔をしている。
こちらは味方だと完全に認めた事は無い。
「・・・貴様は俺達に間接的に情報を与え、この襲撃に備えた。
だが・・・・・・気に食わんな・・・何を考えている?」
『何って・・・純粋にこの国を守る。それだけですよ。
ラゥムに真っ向から反したやり方じゃ、別の手を使われちゃいますから。
出来る限り混乱させられる手はコレぐらいしかなかったんです。』
確かにそうかもしれない。
だが、そう言うのであれば、もう1つ訊かなければならない。
「・・・ならば、何故、ソーライトを離れた。」
『言い得て妙ですね。あなたが言える事ですか?』
「・・・・・・御互い様か・・・・・・」
ザッ。
『あ、分かっていただけましたか。』
「・・・フン・・・・・・
貴様は俺達を何らかの為に利用しているのだろうが、言って置く。
これ以上下らん真似事で惑わすのなら、貴様は必ず殺す。」
『勝手な人だ・・・・・・
貴方こそ、利用しているじゃないですか・・・いや、彼の方が酷いかな。
まぁ、僕らも似たような事はしてしまいましたから、言い返しません。』
「・・・俺は俺の守るべき人と俺のすべき事が成せるのなら、どんな汚名も被る。
何と言われようと、俺は俺の正義を完遂するまでだ。」
『そう仰るのでしたら、僕も同じようにします。
もし、あなたが値せぬ程度の人物ならば殺します。』
「(・・・値せぬ・・・か。なるほど・・・)
・・・リサさん、城の方へ行きましょう。
この場はこの連中に任せておけば何とかなるでしょうから。そうだろう?」
『ええ。それは必ず誓います。僕は魔族が大ッ嫌いですから。』
「・・・・・・」
再び
「・・・中に・・・別の存在・・・・・!」
ベリッ!!べギッ!!!
『流石に2年も着ていると、密着しすぎて困るな。
加えて・・・・・・防腐処理が面倒だ。』
バリッ ッ バギッッ!!!!
『フー・・・・・・うゥゥゥ・・・・・・』
赤黒い肌・・・水色の髪、金色の瞳。それは正に鬼の一族。
「・・・変装・・・いや・・・乗っ取っていた・・・・・・?」
『流石に違和感には気付いても詳細までは分からなかったか。
まぁ・・・そうだな。ラゥムは2年前に俺が殺した。』
ザリッ。
『そして、あるヤツの術を応用して奴の“外装”を着ていた。
窮屈だったぜ・・・少しばかり、予定は狂ったが・・・
テメェを殺して帳消しにしようか。』
バキバキと骨が鳴る。
地を踏みしめる音もする。
鬼の圧倒的な力は全てに影響を及ぼし、恐怖を与える。
故に魔界でも最高峰の一族―――。
『俺はお前の姉を殺した、最強の鬼族。
カヴィスだ。暫しの戯れだが、見知って・・・死ね。』
「・・・姉さんの・・・・・・仇・・・・・・!!」