ACT.128 ローテルダム危機/明白な殺意



「・・・・・・」

『決着か・・・
 ・・・そうだな。だが、ここじゃ面倒だ。』

ブゥンッ!!

「?
 (何だ、あの魔力は・・・・・・)」

『テメーにゃ、取り合えずコレをくれてやる!!!!』

カヴィスが両手の爪に魔力を宿し、襲い掛かってくる。

「そんな見え見えの攻撃動作で!!」

魔力による分身でカヴィスを包囲―――
そして、繰り出すはソウジの得意とするこの攻撃!

「神羅鏡崩刃!」



ズ! ガ!  が!ガガ!   ガガガッッ!!!!



『・・・ッハアッッ!!!』

「!(硬い!人海で攻めてもこれだけ!?)」

『ありがたく!!!』

「!!」


迫る――――――。
分身が全て弾かれ、迫る――――――!


「く―――――――――!!!」



                       ズドッッ!!!



「ぐっ!?」

『受けとれぇッ!!!』



 ブシュ!! ッッ!!



「がはっっ!!!?」


 ドシャっ!!!


『・・・くクッ・・・グフッ・・・
 (マズイな・・・さっきの連撃のダメージが・・・)』

「ゲボッッ・・・・・・」

ソウジの口から血が零れ落ちる。

「な・・・・・・何を・・・・・・した・・・!
 (刺された部位が全く痛みを感じない・・・だが、内臓が・・・!)」

焼けつく様に痛い――――――
痛い感覚すら麻痺で訳が分からなくなってくる。

『アヒャヒャハハハ!!!鬼族特性の呪いだ!!!』

「な・・・に・・・っ!?」


動けない―――。
    動けば、死が近付く。
  間違いなく、     すぐに死ねる。


『どういう類の物かは自ずと分かるぜ・・・・・・』

「くっ・・・・・・」

『その呪いは俺を殺さねぇ限り、消える事はねェ。
 という事は、それで死ぬというコトだな。ハハハハハハハッ!!!』

「ふっ・・・
 ・・・ふざけた事を――――――!ガハッッ!!」


ベチャッッ!!


「カフッ・・・・・・」

『ハハハハ!!苦しそうだな!
 さっきより良い表情・・・ン・・・・・・来たか。』

カヴィスの背後に数人の影が現れる。

『お迎えに上がりました。カヴィス様。』

「く・・・・・・
 (軍服・・・ラゥム派か・・・・・・?)」

カヴィスがそうしないと言う事はカヴィスはもう戦えない。
だが、このままでは今現れた連中に殺される―――。

『他のガキ共はどうした、アルベルト。』

『逃げられました。
 しかし、恐らくこの場へ向かっているかと。』

『・・・・・・面倒だな。
 早々に退くぞ。この国はもう終わりだ。
 残念だったな、ソウジ・イムラ。襲撃されているのはなにもここだけじゃあねぇ。
 ローテルダム各地が火の海だ。そして、テメェが見放したユーリケイルもな。』

「く・・・・・・っ!」

『良いぜェ・・・その顔・・・』

「ぐ・・・・・・クソ・・・・・・クソォッ!!
 必ず・・・!必ずお前は!オレが殺す!!!!」

『ああ・・・その時が来たら良いなァ?』


ヴン・・・ッ!









同刻 ユーリケイル共和国領 戦闘地帯


ボシュウウウッッ!!


「おう、やるじゃねぇか、ネエちゃん。それが噂の新兵器か?」

「そうよ。使ってみる?
 オジサンになら別に構わないわよん。」

「いや・・・止めとく。
 俺様は剣一筋だからな。それよか・・・」



ザァァァ・・・・・・ッ



「この魔物の軍勢といい、トルレイト軍といい・・・
 そこまでユーリケイルを落とそうとしたのは何でだ・・・?
 しかも、天真忍軍まで出張ってきてたじゃねぇか。
 まぁ、あいつらが居たお陰で相当楽だったがな。」

「・・・・・・ユーリケイル侵攻は布石よ。
 本当はローテルダムが目的だから。」

「・・・・・・ま、手回しは出来てるから問題ねェな。」


ザりッ。


「ここまでありがとうな、ネエちゃん。」

「あら、ローテルダムに行かないの?」

「俺様はユーリケイルに1つ用事があるんでな。ネエちゃんも気をつけろよ。
 特にその右手のタトゥーの事をちゃんと調べろや。」

「じゃあね。助かったわ。」

「おう。」


ガチャンッ・・・・・・


「・・・・・・さぁて・・・行こうかしらね。」