ACT.134 溶け込み
翌朝
「おーおー、熱いねェ。
聞いた話じゃ、剣道場で寄り添って寝てたとか何とか」
「・・・キッド・・・お前、朝から早々に殺されたいか?
いや、会って早々にか・・・・・・どうでもいい、殺すぞ。」
右手に魔力が集中しております。
「素直に喜べっての。ホントはもう心臓バクバクだったんだろ〜?
そーだよなー、あんなかわいい子が横にいたら、フツーはそうだよなー。
リノンじゃぜってー無理だな。ハッハハー。」
この場に居ないからってメチャクチャ言いすぎだ。
「五月蠅い。お前には関係無いだろうが。
お前こそ、リノン・ミシュトと良くやっているんだろう。」
「何であいつの名前が出てくんだよ!訳分かんねぇよ!」
(やっぱり、キッド君とリノンって色々と共通点あるなァ。)
心にもなさそうな事を言って見るあたりとか特に。
数十分後 総隊長室
関係者全員が集まり、今後の方針を決める事になった。
“引き続き、昨日の城下を中心とした襲撃事件の安否情報他をお伝えします。”
昨日の襲撃事件のニュースが報道されている。
「・・・ヒデェよな・・・
抵抗出来ない人にまで魔物をぶつけやがって・・・」
「・・・隊長さん、ラゥムの件はどうしたんですか?」
「あぁ・・・マスコミが五月蠅くて困ったが、死亡と言う事で提出した。
第二大隊、第四大隊の一部が離反・・・
恐らく、君らが接触した闇葬組とやらの下に付いたのだろう。
しかし、ソウジ君。本当にラゥムは殺されていたのか?」
「はい、間違いないと思います。
変装術の中でも対象の身体を使うタイプだというのは分かりましたので・・・」
「・・・・・・・・・そうか・・・・・・」
「姫はどうなるんスか?」
つまり、政治の事だ。
「暫くは、信頼出来る議員に任せておいた方がいいだろう。
すぐにコーデリア姫を王位に就かせるのは心証が良くないからな。」
「あー、それもそーッスね。」
「しかし・・・昨日まで、余りにゴタゴタして殆どお話できなかったが、
クリスティーナ姫。ご無事で何よりです。レオン国王も気遣っておられました。」
「ありがとうございます、クライセント・クロウ総隊長。
皆さんのお陰でこの通りです。」
(ま、俺の護衛があったからやな。)
(仕事だろーが。威張ってどーすんだよ。)
お前は間違いなく威張りそうだけどな、キッド。
「私に出来る事があれば、この国のお役に立ちたいと思います。」
「うん、お願いしちゃうョ☆」
(((そう云うときは遠慮するモノなんですよ・・・)))
「つーか、ちょい待ち。」
「私も結構、気にしないようにっていうか言われるまで待ってたけど・・・」
「あぁ・・・僕もその一人だ・・・」
薔薇を咥えて部屋の隅で燦然と輝く金髪の少年を見る。
「ん・・・?なんだい?」
「「いや、何でいんの?」」
「あぁ、そうか。紹介していなかったな。
先日、ローテルダム騎兵隊に入隊したクロード・ネフェルテムだ。
所属は第一大隊、俺の下においている。」
「「いや、隊長・・・そーじゃなくて。」」
(うわぁ、リノンとキッド君ってホントに息ピッタリだ・・・)
(そないな事で一々、感心し取ったらこの先、しんどいで姫さん。)
(そうなんですか?)
(そらもう、コイツらの気の合い方は尋常やないで。まずやなぁ、2年前には)
ちなみに姫に話した事は7割が嘘です。
「まぁ、驚くのも分からなくも無いが待ちたまえ。」
ぱちんっ。
「レディー達には華が必要だね。」
「わっ・・・」「えぇ?!」
(イキナリ薔薇が・・・しかもここにいる女全員に・・・)
(お前はマジシャンかっつーの。)
否、ただのバカです。
「紹介に預かった通り、僕はライトニング所属のクロード・ネフェルテム。
蹴撃の貴公子と呼ばれている事はもはや、この大陸どころか世界各国に」
「ハイハイハイ。
で、何でお前みてーなアイドル崩れがここに居んだよ。」
「失礼だな、キッド・ベルビオス。前に見た時から思っていたが、
姫の警護をするのなら試合に集中するのではなく周りに気を配るべきだろう?」
「「なっ・・・」」
どうしてその事を知っている―――。
「・・・俺も正直、この男の洞察力には驚いた。
試合会場で俺の存在も既に知っていたらしいからな。」
キッド達は分かるが、
さらに気配を消していたロックハートの事まで気付いていたのはさらに驚きだ。
「あ、ちなみにロックハート君とリサ君は、既に一度作戦で一緒になっているぞ。」
「そーッスか・・・って、誤魔化すなよ。」
「・・・言わなければならないかい・・・?
兵役に志願する理由なんて人それぞれだし、それを教える必要も無い。
その方が美しいという事もある。
それよりも、他に教えておくべき事があるだろう?ロックハート。」
「――――――チッ・・・言わんでも良い事を・・・
状況を混乱させると思ったが、まあいい・・・まだ誰にも報告していない事だ。」