ACT.135 平行


「「パ、パラレルワールド?」」

「・・・あぁ。その男と一緒に居た小悪魔が言っていた。」

「小悪魔て、どんなんやった?」

そういえば、ユーリケイル城近くで戦った。

「・・・全身が黒で、一部に紅いライン、名はビュビだったか。
 ・・・・・・まさか、遭遇したのか?」

「ビンゴ。俺が殺したわ。」

「ほう・・・・・・」


ざ・・・ッ。


「パラレルワールド・・・・・・ですか・・・」

「知っているんですか?メノウさん。」

(先輩でも知らねぇコトってあるんだな。)

「あくまで理論上、架空上での話なんですが、
 パラレルワールドとは“多次元平行異次元世界”の事ですわ。」

「「「??????」」」

何だって?

「私達が居るこの星はガイアと言いますわね?この宇宙空間にガイアが浮かんでいる。」

「「「うんうん。」」」

「そして、ガイアが浮かんでいる全く同じ場所にある世界がパラレルワールドですわ。」

「「「・・・・・・え?」」」

「つまり・・・その、凄く難しい話なんですが、
 全く違う次元とは言ってもこの世界や宇宙の広がりは同じでして・・・えーっと・・・」

メノウ自体、理論というかその構造は分かってはいるのだが、説明が難しいのだ。

「どう説明すれば分かりやすくなるか・・・」

「パラレルワールドとは歴史的分岐によるif世界の重なりのことでして、
 今僕らがいるガイアをAと名付けまして、例えばこの刀を立てます。
 そして、そのまま手を放すと、バランスが崩れて倒れますよね。」


がシャンッ。


「そして、これはボクから見て手前に倒れました。
 しかし、場合によっては後ろに倒れる未来もあった。
 同じ時間軸上で同一空間において多次元的に存在し、尚且つ干渉し合わない。
 それがパラレルワールド・・・といえば良いでしょうか。
 まぁ、この話自体、机上の空論であったりするので正しいとは言えませんけど。」

「何となく分かったような・・・」

「分からないような・・・」

「・・・・・・おい・・・・・・何故、お前がここに居る。」

そうだった。
いきなりメノウに取って代わって説明したコイツをどうにかせねばなるまい。

「どうも。お久しぶりです(笑)」

「「シン・・・・・・!!」」

「や、ヤダなァ。そんな殺気立たなくてもいいじゃないですか。
 ボクはお詫びしに来ただけなのに・・・」

ホントにそんな気があるのか疑問だ。

「・・・詫びだと・・・?」

「まあ、待つんだ。話を聞こうじゃないか。」

「流石、ソウジさん。話が分かる方だ。
 でも、パラレルワールドの事を先に言った方がいいでしょう?」

確かに興味はあるし、もとよりそんな男が現れたのだ。
知っておいて損は無い。

「・・・・・・知っているのか?」

「ええ。そーいうコトは興味があったんで。」

「・・・待てよ。
 コイツのいう事なんかやっぱ信用できそーにねーんだけど・・・」

「えっとですねー、そのハーバードって言う男が
 来た世界がパラレルワールドであるにせよないにせよ、
 ガイアの存在ではないという確たる証拠を提示するとすれば、
 ロックハートさんをサイという人物と間違えた所にあります。」

(って・・・勝手に話してやがる・・・)

話の腰を折るのも何なので我慢してみる。

「あはは、すみません。キッドさん。
 話止められるの嫌いなんで無視しました(笑)
 止めたかったらボクより強くなってからにしてください、アハハ。」

(――――――――――――殺してぇ。)

「我々が存在するこのAの空間にロックハートさんが居るように、
 ハーバードが存在していたBの空間にもロックハートさんと同じ人物が居るんですよ。」

「何・・・?」

「もちろん、多少の容姿は違うでしょう。
 もしかしたら、魂という最も表現しにくい点での相似かもしれません。」

「すると何かい・・・?
 そのBの世界には、この僕と同じヤツがいるってコトかい?」

「えぇ。そういう事もありえますね。
 2つの世界・・・いや、もっとそれ以上からなる
 このパラレルワールドのそれぞれの歴史は全く違うモノであるから、
 クロードさんと同じ存在が別の時代に生きる可能性もありますよ。
 ただ、言える事はそれぞれの存在がどの世界にも現れる可能性があるということ。
 それが同時期である事もある・・・というのがこのパラレルワールドの話です。」

「・・・・・・どうして、あの男はこの世界に来た。
 それにどうして、鏡に映したような姿になっていたのか・・・
 詫び代わりに教えろ。」

(うっわ・・・)

(ただ、教えられるんじゃ厭だからって・・・)

(・・・ロックって意外と心狭いのかな・・・)