ACT.138 持ち主
数十分後
「うーん・・・・・・」
「何よ、珍しく悩んでるけど・・・
あんたが悩むことなんて何かあったっけ?キッド・・・」
「何が珍しいだよ・・・・・・」
いや、そこまで悩むような頭ではないだろう、と。
物凄く悪い意味で。
「で、何?」
「いや、何でシンがあんな事俺に聞いたのか・・・ってな。」
「あ?
オヤジが死んだときの状況?」
「ええ。」
「何でお前がそんなコト知る必要があるんだよ。」
「強いて言えば・・・・・・興味本位ですよ。
剣聖スネイク・ベルビオスの最期・・・もし知っているのなら訊いておきたいと。」
「何だよ、ソレ・・・・・・」
「まぁ、いいじゃないですか。」
「・・・・・・2年前だろ・・・
あん時は母さんも死んで、リノンの両親も死んだんだよ。
ちょうど、魔界の襲撃もあってよ。
だから、頭ん中ぐちゃぐちゃで、よく覚えてねェんだよ。
ただ・・・・・・って・・・あれ・・・?」
「・・・・・・どうしました?」
「いや・・・・・・俺、親父の遺体・・・
見た覚えが・・・あれ・・・確かに・・・」
「・・・なるほど。ありがとうございました。」
「って、おい、全然答えてねぇけど。」
「いいんですよ。だって、言いましたよね?
興味本位だ、って。そのぐらいで十分です。」
「・・・そういえば、私もあのときの事はあんまり覚えて無い・・・」
「だろ・・・?
だから、余計に気味悪いっつーか・・・
(シンの野郎・・・何か知ってんのか・・・・・・?)」
同刻 ローテルダム城下町北門
「それじゃ、僕ら閃迅組は私用でユーリケイルに向かいますが・・・
僕らがいなくても全く問題なしですよね。」
「ああ、当然だ。
だが・・・・・・確か、依頼しても良かったんだな?」
「ええ。」
「なら、先日現れたという2人の正体を掴んでくれないか。」
「分かりました。出来るだけやってみましょう。それにしても・・・
あからさまに殺気がなくなりましたね。
やっと信用されたと言う事でいいんですか?ロックハートさん。」
こっちの答えを知っているからかニヤニヤしている。
まぁ、隠す必要もない。
「・・・アホが・・・
クリスの前でそんな気迫を圧してどうする。」
「アハハ。それもそうですね。」
「あの、シンさん。」
「姫様、僕などは呼び捨てで構いませんよ。
国を逃げ出した僕にそんなさん付けなんて。」
「逃げ出したのでは無い事ぐらい、私は分かっています。
あなたがソーライトの為に世界の為に何をしようとしているのかを。」
「・・・姫・・・」
「この戦いが終わったら、あなたにもソーライト復興の為に
力を貸してもらいたいから余り無茶はしないで。」
「・・・承知しました。」
ザッ!
「・・・フン・・・何が殺気がなくなった・・・だ。
自分が味方だと悟られぬ為にわざわざそれを発していた貴様がご苦労な事だ。」
「ふふっ・・・素直じゃないね。」
「俺はいつでも正直だ。」
同刻 ユーリケイル
「あぁ?!ねぇだと!?」
「2年も勝手に置いてって、今更騒ぐんじゃないよ。」
「誰だァ!
この俺様の大刀パクッてった奴は!3万発殴んぞ、コラァ!」
ゴスッ!
「――――――――――――ッ!!!!」
「近所迷惑だよ、このバカ弟子!!
まったく、その歳になってもバカな行動は変わらないねェ。」
「で・・・誰なんだよ・・・“天翔”をパクッてったのは。」
「アンタよか2倍はキレるボウヤにだよ。」
「・・・・・・なるほど・・・・・・おもしれぇな。」
ザッ。
「アレ?もう行くのかい?」
「ああ。迎えに4人くるハズだけど、予定よか遅ぇからな。
途中で合流して行くんだよ。」
「まぁ・・・あんまり無理するんじゃ無いよ。
というか、会ったらちゃんと謝りな。」
「そりゃ――――――
約束出来ねぇな・・・・・・」