ACT.14 開始


翌日

「デーモンバスター・・・?そんな奴が来たのか?」

「そーなんスよ。」

一応の事のあらましをソウジに話した。

「そうか・・・そして、持っているのは風の力か。」

「まーったく、メチャクチャな人でしたよ。話した通りですけど・・・」

「すまなかったな・・・3日間駆け回って調べてみたが、全くでね・・・」

調べ上げた“それらしいこと”を纏めたメモを見せられるが、
確かに先日分かった事以上の事実らしきこともなかったが、そうは言えない。

「そんな・・・先輩は俺の為にやってくれてるんだから。」

「・・・そういって貰えるだけ、ありがたいよ。それで・・・名前は言ってたのか?」

「ロックハート・・・なんだっけ?」

「えーっと・・・クラウン・・・?だったような。」

とりあえず、派手な名前だった。

「(・・・ロックハート・クラウン・・・まさか、あの国の・・・)
 ・・・・・・・・・。」

「知ってるんスか?」

「・・・いや。初耳だよ。だが、相当な剣士なのだろう?」

「んー・・・確かにスゲェ、速い奴だったけどそんな、大した」

グッッ!

「―――っ!」

突然、ソウジに腕を掴まれ痛みが走る―――

「この左腕の傷・・・・・・動かさないようにしている事くらいお見通しだ。
 打撲傷だな・・・右手で斬ってきたのをお前が防ぎ、そこに間髪入れずに拳打。
 ほんの一瞬の間の事だろう。違うか?」

「・・・・・・当たりッス・・・」

「なっ、何で黙ってたのよ!?言ってくれれば、そこも治したのに。」

「うっせぇよ。こんぐらい、大丈夫だ!」

「やせ我慢する方がカッコ悪いわよ。見栄を張ってどうするの?」

(リノンさん・・・分かってないな・・・)

確かに分かっていない。が、リノンの事も二人は分かっていない。

「それでー・・・どーすりゃいいんスかね。」

「・・・刻印に関すること・・・結局、何も分かっていないというのが現状だろう。
 分かるとすれば、その緑色の刻印を持つロックハートと言う男だ。
 恐らく、その刻印に宿る存在に教わったんだろうな。
 でなければ、刻印は刻印でなければ殺す事は不可能などと分かる訳もない。
 まぁ・・・既に別の刻印を殺しているのなら話は別になってくるが・・・」

ザッ

「少々、面倒な事になってきたな。調べるのは止めにしよう。
 いずれその男とまた会うだろうから、その時に色々と分かるかもしれない。
 それでだ・・・キッド。お前はどうしたいんだ?」

「!」

「結局、具体的に何をするか決まっていない。かといって、僕が決めるのも違う。
 お前がその力を魔物に抗う力として使うのは分かったが・・・」

「・・・ビサイドに居るだけじゃどうしようも無いッスよね。
 むしろ、ここにいたら、余計な事にこの町を巻き込みかねないし・・・
 だから、どこかに飛び出して魔物を倒していく。あのバカヤロウに証明する為にも。」

「・・・・・・昨日のコトが無くても外に出るだろうと思ってな。」

ぴらっ

「なんですか?その書類・・・」

「総隊長に書いてもらったんだよ。今魔物の勢力が拡大されている場所のコト。
 『騎兵隊に協力するつもりは無いが、魔界と戦う。』と言ったら、快く教えてくれた。」

「あの隊長さん、すげぇいい人ッぽそうだったなぁ。」

(・・・彼だけなんだよ・・・騎兵隊で頼れる隊長級は・・・)

「えーっと・・・一番近いのはビサイドから南のアルファン近郊・・・」

「オイオイオイ・・・あの魔洞窟ぢゃ・・・」

一般人でも良く知っているホットスポットだ。
やむを得ず近くを通る場合は10人以上の行動が義務付けられている。

「その通り。昔からあそこは修行の場所として使われているのは知っているだろう?
 その理由は簡単だ。あの深遠には魔道が開いていて、魔物の巣窟になっている。
 以前は修行に使える程度の数だったが・・・
 この数ヶ月は異常な程に湧き出ているそうだ。」

「・・・・・・上等。」

ボッッ!!

「そこの魔物をブッ飛ばして、このボケ龍を成仏させてやる。」

(火炎として使えるのか・・・わずかな時間で魔法が苦手だったキッドが・・・)

「アンタ・・・カッコつけて無駄に出したら、厄介なことになるんじゃないの?」

「んあ!?あぁぁぁ・・・だ・・・大丈夫ダヨナ・・・?」

「・・・1ミリくらいなら平気でしょ。」

「その1ミリが命取りになったらどーすんだよ!」

「それはキッドがカッコつけてそー言うコト、するからでしょ!?」

「いや、主人公的にはこーやって、」

「そーいうのする主人公に限って苦戦するんだから。」

何の話?

「うっせーな!友情・努力・勝利ってのが主人公の条件で、」

「アンタの場合、口喧嘩・無活躍・敗北って具合に進みそうだけど?」

「・・・・・・仲が本当に」

「よくねェッス!」「ないです!」

多分。

「・・・そういう事にしておくよ。(・・・刻印・・・か・・・)」