ACT.140 不運
「だーっ!何で出来ねぇんだ!?」
「教え方が悪いんだョ!
コーディ、頑張ってるモン!」
「せやから・・・最初に言うたやろ・・・
変声術は4年はかかる、て・・・」
「「それを3時間でマスターさせるのがプロ!」」
(うわー・・・思考パターン同じじゃない。)
「・・・ちょい、待て・・・変声術を何に使う気や。」
「腹話術!」
それはジャンルが違う。
「某少年探偵のモノマネ!
シンジツハ イツモ ヒトツ!」
敵を作らないで下さい。
「・・・姫さんもやっとるから、控えめに言うといたるわ。」
ギッ!!んっ!
「忍術をナメんな。」
「「う・・・・・・」」
全然控えめじゃねーよ。
「エンターテイメントやりたいんやったら、他に教えてもらい。
リカードやったら教え方も上手いやろうしなァ。」
「悪ィ・・・」
「ごめんなさい・・・」
「まぁ・・・
そんかわし、手裏剣術やったら教えたんで。」
「うおお!」
「さっすがぁ!ブラッキー太っ腹ー!」
ポ○モン?
(・・・って、もう、声真似の事は忘れるんだ。)
「(扱い易ぅて、楽やわ。)リノンもやらへんか?」
「暇だし、護身用に使えるっぽいんだったら。」
「そらもう、思いっきり使えんで。
木の枝でも十分に出来る技やからな。ほんな」
ザッ!
「ストップです。」
「何や、リサさんかいな。」
「今、諜報部を総動員して、城下周辺の警護や情報収集をしている所なんですが、
トルレイトの小隊クラスが2つほど、国境を超えて来ている様です。」
「「ええっ!?」」
と、驚いたが本当にフットワークの軽い連中だと思う。
つい先日はラゥムと意思を共にしてユーリケイルを攻めたと思ったら、
次は事実上の主権者が変わった途端に敵対行動・・・
「いや、軍事行動ではなく何かを追っているようだ・・・」
トンッ。
「あ、リカード。おつかれ〜。」
「いえ。
・・・ブラッド、お前は私と共に姫の警護だ。
クランバート中尉は城下警戒の方に廻って欲しい。」
「分かりました、クィテッド少佐。
キッドさんとリノンさんは私と共に城下に降りて手伝いをして頂けますか?
見た目、一般人の方なら手が増やせますので・・・」
「うッス。
って・・・あー・・・そういえば気になってたんスけど・・・」
「「?」」
「俺とリノンってバリバリ一般人なのに
対人戦闘しちゃっていいのか・・・って。」
本当に今更だな。
「問題ないわ・・・
総隊長の判断でキッド君は騎兵隊第一大隊の二等兵、
リノンさんは魔術士団所属、第一大隊付の軍士として
入隊していることになっている。国際法に引っかかる事もない。」
「い・・・いつの間に・・・・・・」
「職権濫用じゃないですか・・・」
とりあえず、大事な事に気付いて解消したが、もう1つ気付け。
「・・・あれ?二等兵って軍で一番下ですよね?
それで・・・魔術士団は名称がちょっと違ってて、
二等、一等、軍士の順に上がっていくから・・・・・・」
「な・・・・・・オイオイオイ!?
俺のほうがリノンより下なのか!?何でだよ!」
「まぁ、妥当な配属やな・・・
ユーリケイルの戦いで無血撤退させた功績はデカイんやし・・・
その辺、鑑みてもお前よりは間違いなく上やろ・・・」
「アハハっ、キーちゃん、お尻にしかれてるね☆
ケッコンしたあと大変そーだなー。」
「しねぇよ!」
「しないわよ!」
お約束。
30分後 ローテルダム城下近郊
「あーらあらあら。わざわざ、追いかけてきた訳?
まぁ、ユーリケイルを横断してこなかっただけ賢いわねェ。」
『大人しく縄につけ。』
「・・・私がどうしてローテルダムに来ると思ったのかしらねェ。
そうなる理由、そうする理由を分かってるみたいじゃない?」
『黙れ。大人しく縄につけといっている。』
「・・・・・・面倒ねェ。」
蒼銀が舞う―――――――――。
「死んで刻みなさいな・・・・・・
不運を呪ってね・・・」