ACT.150 女の戦い


夕刻
「あーん、キッドたーん。」

「そ、そんなに近付くなって!」

なんていうか、ウン。作者壊れた。

「だってぇ、2時間も男2人と会議よぉ?」

「いや、仕方ねーだろ。隊長は軍のトップとしてだし、
 先輩は俺とかリノンとかクロードみてーな民間協力者代表なんだから。
 それ以外に人居ても今は意味ないだろ・・・」

キッドにしては意外と冷静な見解なんだが、
そもそもコイツは馬鹿といわれる割に馬鹿では無い。良い訳でもないが。

「・・・・・・酷い・・・私があの2人に」

「ちょっと!!
 幾らなんでも馴れ馴れしすぎでしょ!離れなさいよ!」

分かってか、分からずか危うい所でリノンが割って入る。
状況的に、自分の気分が悪いから割り込んだ感じがあるが、それは置いておこう。

「はぁ・・・小娘が邪魔しないで欲しいわよねェ・・・」

「こっ、小娘?!
 この私が、王立ビサイド学院始まって以来の
 天才といわれてるこの私が小娘ですって!?」

(キター!いよいよ開始だョ!)

ワクワクテカテカしているお姫様。
他人の痴話ゲンカと不幸話ほど面白いものはないのだ。

(姫・・・情事をからかうものじゃありませんよ・・・)

(そー言う、リカードさん。微妙に楽しんでないッスか?)

(そ、そんな事は・・・!)


あ り ま す。


「あなたの事じゃない。リノンと書いて小娘と読むのよ。
 それに天才?もしかして、天災の間違いじゃなくって?アハハハハハ!」

「っ!」

少し図星。
魔法の扱い方は悪くないのだが、如何せん桁違いな事をやってのけるのだ。
ある意味、天災なのだが、今の今まで天才らしい描写が無かったので、
どうも実感に欠けるとかそう云うことは言ってはいけない。
能ある鷹は爪を隠すのだ。彼女の場合、一部、誇示してるけど。

「ここまでバカにされたのは初めてよ!」

「で、何?
 何でそこまで食い下がってくるワケ?あなた、キッドの何?」

(出たァアア!リカ、凄いョ!ホントにああいうのって言うんだネ!
 「あなた、彼の何?」って超名ゼリフ!)

(え、ええ・・・私もまさか本当に言うとは思いませんでした・・・)

やっぱりノリノリな2人。

「お・・・幼馴染よ。悪い?」

「・・・・・なんだ・・・“それだけ”の関係なのね。
 恋人だったら幾ら私でも手を引いてあげたけど、それを聞いて安心したわ。」

「初対面でそんなにベタベタされる人の気にもなってみなさいよ。
 ねぇ、キッド!」

「あ・・・いや、それは・・・
 そうだけど・・・あのぅ・・・(そもそも、俺の意思はどこへ?)」

「あーら、別に悪い気はしないんじゃないの?」


ギュゥ・・・

「!!!(こ、これは・・・っ!)」

言うまい。

「げ・・・下品すぎるわよ!」

「あ、ゴメンなさいね。
 アナタになくて、私にあるモノで攻めちゃって(笑)
 でも私、“真ん中”はあなたよりないのよねェ。良かったわね、私よりあって。」

終わった。
それは言っちゃいけない。ってか、書くのもタブー。

「・・・・・・殺す・・・絶対に殺す!もうどういう理由だか関係ないわ!
 私がどうして天才といわれているのか教えてあげるわ!
 六大執行の名に賭けて、今、戦慄の光を撃たん!!」



ゴゴ!   ゴ ゴ  ゴ  !!

   ゴ ゴ!      ゴ ゴ    ゴ!!!



「あわわ!もうお家崩壊決定だョ!」

「や、止めろって!リノン!」

「知ったこっちゃないわ!」

「あらあらあら、ケンカは売られたら買う主義よ。
 どっちが売ったのか忘れちゃったけどねェ、あっはっはー」


高鳴る魔力―――
激昂する魂、燃え滾る瞳―――

それらを一瞬で打ち消したのは


「あのー、議会の承認が即決定で下りまして、
 今後の活動の日程が決まったとのコトなので会議場に来て下さい・・・」

というリサさんの参入でした。

「って・・・何か・・・私マズかったですか。」

リノンとサラサが反応的に睨みつけています。


「「「むしろ、リサさん、グッドタイミング!」」」

「・・・仕方ないわねェ・・・・・・」

「・・・命拾いしたわね・・・
 幾ら刻印でもこの私は倒せないわよ。オ・バ・サ・ン。」

(((ウワ・・・・・・)))

「・・・・・・その言葉・・・言った事、後で後悔しない事ね・・・」


ザッ!


「・・・・・・フン。」

(あ・・・あの・・・ホントにマズかった・・・ですか?)

(いや、ホントにグッドタイミングッス。)

「キッド!行くわよ!」

「お・・・おう。って・・・引っ張るなよ、おい!」


ダダダダダ・・・・・・


「・・・す・・・凄い事になってますね・・・」

「フフフフフ・・・この先どうなるか、楽しみだョ!
 ワクワクテカテカ、略して」

「止めてください、姫・・・
 あの惨状寸前を目の当たりにしてまだ楽しみですか、あなたは。」