ACT.167 海渡/プライド
『グおオッ!!冗談では、冗談でハ、ナいッッ!!!』
「おーおー、まだ生きてるんか。」
余裕なフリをしてみせるが、この化け物の回復スピードは異常だ。
燃えているのに再生しようとし続けている。
(・・・・・・この化け物・・・
魔法化学の産物なんてモンじゃすまへんぞ。)
調べる必要がある・・・だが、今はその時では無い。
「熱いんやったら終わらせたる。」
黒いロザリオを化け物に差し込む。
『が・・・?!』
すると、瞬く間に細胞の活動が停止して行く。
全く異なる魔力を細胞に直接叩き込むことで活動不能に追い込む天真忍軍でも
3人しか存在しない絶対必殺の術。
「せめてもの慈悲や。」
ブ ラ ッ デ ィ ク ロ ス
「血の十字を墓標に逝け、バケモン。」
━━━リノンVSサク━━━
「(・・・ブラッド君は優勢みたいね。)
それじゃあ、私達も始める・・・・・・?」
『・・・そうですね。』
ザリ・・・ッ
『ご安心下さい。
私は刀鍛冶でありますが、剣は振るいません。
魔法による近接戦闘を多少、使うだけです。』
「・・・別にそんな気の使い方しなくていいわ。
魔法合戦で負ける気なんて無いんだから。」
『・・・でしょうね。』
何もかも知り尽くしている、
だが、油断や慢心など一切見受けられない。
冷静を装っている訳でなく、ただただ静かだ。
『王立学院最高の魔術士である貴女を前に愚問でした。』
「・・・・・・人と戦うのなんてイヤなんだけどね。」
『ご安心下さい。私は貴女を殺します。
ですから、必然的に貴女も本気を出さざるを得なくなる。』
静かだったサクの魔力が一瞬昂ぶる。
「!」
小さな魔法陣からニードルが放たれるが、
リノンは魔力を放出する事で軌道を変え、消し去った。
「・・・・・・いいわ、本気を出す。
でもあなたを殺す気なんて無い。私は殺すために戦ってないから。」
『そうですね。
学生であるあなたが血で染まる要なんてありません・・・・・・
染まるのはご自身の血でお願いします。』
コォオオオォオオ・・・・・・・・・
『行きます。』
魔法陣が環状に6つ広がる―――!
同時発動させているのではなく、6つで1つを意味する魔法なのだ。
「!
(この魔法陣は・・・弾丸の魔法・・・!)」
『ブレットダンス。』
大量の弾丸が、リノン目掛けて放たれる。
威嚇射撃も合わさったこの術は、正に踊るように逃げ惑う事になる。
「馬鹿にしないで。
風魔法――――――フルガンストスピレイト。」
カ・・・ッ!!
『!
(S級・・・!)』
「今までの戦いじゃ使う事は殆どなかったけど、
あなたの本気は十分に理解できたわ。
だからこっちは、本気を出すという意味でS級の詠唱省略で迎え撃った。」
ザッ・・・
「魔術士と戦うのは初めてだけど、私が勝つわ。あなたを倒す。」
『・・・・・・・・・天才ですね。
その一撃で認識しました。
最優秀生徒―――クイーン オブ クイーンズの名は伊達ではない。
しかし、私を侮らないで下さい。』
カツッ
『私を見くびらないで下さい。』
――――――カツッ
『あなたのプライドは私が折ってみせましょう。
リノン・ミシュトさん。』