ACT.169 海渡/眼
サラサVSザース
「バカな男・・・・・・」
チャキッ
『ぐ・・・・・・ぅ・・・・・・っ!』
「“お坊ちゃま”の剣術が職業軍人の私に敵うとでも思ってるの?」
『サ・・・サラサァッ!!!』
無理矢理、湾曲刀で斬りかかる――――――が
「で・・・何・・・?」
『―――――――――!
(う・・・しろ・・・?!)』
ズ ガッッッ!!!
『がはぁっ・・・・・・!!』
「さっさと死ぬか逃げるかしなさいよ・・・
アンタみたいなの、生きてようが死んでようがどうでもいいのよ。
鬱陶しいから私の前から消えてくれない?」
イライラする。
裏切られたというのにどうしてこうも固執してくる・・・
『サ・・・サラサ・・・!
き・・・君が退けばそれで・・・』
「良い物食べて頭が腐っちゃってるのね・・・」
ザシュッッ!!!
『あが・・・っ!!!』
「トルレイトを腐らせる者は全て私が殺す。例外は無いわ。
アナタは私に利用され尽くして、人生を終えるの。
気が変わったから、ここで殺してあげる。」
キッドVSアルベルト
「うあああっっ!!!」
ドォンッッ!!!
『・・・これで23回目の突進・・・・・・頭が悪すぎますね・・・
まぁ・・・回を増す毎に私の予想を超える動きをするのは驚きですが・・・』
「く・・・・・・」
何とか起き上がれる・・・が、身体は軋み続けている。
速い上に強い・・・攻撃はことごとく読みきられ、
鍔迫り合いにすら持って行けない。
「・・・はぁ・・・っ」
『・・・疲れましたか?
いいですよ、10分でも20分でも休んで頂いて。
なんなら、丸1日待ちましょうか?』
「うっせぇよ!!!」
ニヤニヤと嘲笑って、イジめるのが本当に愉しそうだ。
「ブッ飛ばす・・・」
この男とは初対面からして、敵意しか持てなかった。
キッドは短気な面が強いが人を嫌悪する事は中々無い。
もちろん、悪に対しての嫌悪や憎悪は持っている。
だが、このアルベルトという男に対してだけは、
今までに抱いた事の無い感情を持ってしまう。
『ならば、こちらから行きますよ・・・・・・』
瞬間的に姿が見えなくなる。
「!(右に砂埃が撥ねた・・・左からッ!!)
ガキィィンッッ!!!
『―――!(何・・・?!)』
反応しただけでなく、初めて受け止めた。
「ぐ・・・・・・!」
『ふ・・・凄いですよ・・・!
私の速度ではなく、移動の際の状況変化を見ましたか・・・!』
ギギギギギ――――――ッ!
『良い眼を持っている・・・・・・』
「ジュストォッ――――――ッ、アフェッターレッ!!」
アルベルトの刃を突き放すように刀を振りぬき、同時に火炎の刃を放つ!
『ですが、まだまだ。』
その刃を軽く避け、一歩後退する。
『甘いですね・・・・・・』
ブシュッ!!!
「ッ・・・!
肩が・・・き・・・斬れた・・・?!」
『・・・私に千崩(せんほう)を使わせるとは・・・
大したものです・・・キッド・ベルビオス君。
やはり私の見込んだ通りですね。』