ACT.172 敗北
「がふ・・・・・・っ!
(何なんや・・・コイツは・・・ッ!!)」
ドシャッ!
『コーデリア姫は頂いていきます。』
一撃で・・・倒した・・・?
「く・・・っ!」
『さっさと奇襲するならかかってきてください。
サラサ・ハルダイトさん。ザース君が逃走したのは知っていますよ?』
ザザ ザ ザ ザ ザ ッ!!!
「なら、希望通りに!!!」
『温い!!』
死角という言葉がこの男には存在しないのか・・・?
いくら、声の方向から考えたとてこんな風に見事に受け止められる訳が無い。
しかしサラサは驚かない。むしろ
「残念・・・!」
『!』
「至近距離でなら、避けようがないでしょう!?」
銃口顔面に突き立てる―――!
これを待ち望んでいた。あとは撃つのみ!
「吹き飛びなさいな!!」
『だから、温い。言葉より先に手を出すべきですねぇ。』
ドガ・・・ッ!!!!
「か・・・っ!?」
『背後から申し訳ありません。眠って頂きます。』
サクの攻撃だったのか・・・
一撃でサラサが倒れる。
『アルベルト様は女性を叩く事を嫌う方ですので・・・』
ドシャッ!!
『次はあなたですか・・・リカード・クィテッドさん。
ええ、これが本当の奇襲ですよ。全く気付きませんでした。』
「はァ・・・ッ!!!」
ブシュッ!!
『ッ・・・』
始めてこの場で、アルベルトに一太刀を浴びせた・・・!
『さすがに姫君の刃なだけはある・・・』
「御託はいい・・・姫には指一本触れさせはしない。」
『そうですか・・・』
がく・・・んッ!!
「!?」
『当てられた事に気付きませんでしたか・・・?
最も分かりやすい人体急所・・・鳩尾だというのに・・・』
「ァ・・・」
「リカぁああっ!!」
リカードがずるりと倒れる・・・
『しかし、不覚を取りましたねぇ・・・
流石は最強の忍刀・・・』
ザ・・・ッ
『さて・・・今日はここまでなので、キッドくん。
君にも眠ってもらいます。』
「冗談・・・誰がやられるかよ!
リノン!全力でコイツらを倒すぞ!」
「うん!コーデリアは渡さない!
そして、私達はトルレイトを倒す!」
前衛にキッド、後衛にリノンという典型的な剣士と魔術士の陣形。
一方、相手はアルベルトしか動く気がないようだ。
『・・・・・・行きますよ。』
ッ――――――
「そこだっ!!」
ガキィイイッ!!
『死力を尽くしますか?!』
「“潰えよ悪鬼・・・粉塵と化せ”!!」
『――――――!』
後衛―――リノンから放たれるは
「フリーズスマッシャー!!」
氷の弾丸!
『当たりはしませんよ!』
キッドを突き放し、氷を避ける。
と共にキッドからリノンへとその標的を変更する。
「させるか!フレイムバスターッ!!」
! ! !
「が・・・・・・っ!?」
「え?」
キッドが倒れて行く・・・
サクは何も手を出していない・・・・・・
見れば・・・アルベルトがキッドの鳩尾に拳を入れている・・・
「キーちゃんが・・・どうして・・・!?」
リノンに向かおうとしたのはフェイントで・・・
キッドに攻撃させ、隙を作るのが本命だった・・・?
『すみませんね・・・キッドくん。
君とは後日、再びこの戦いの続きをしましょう。』
ドシャッ!!
『・・・・・・そうですね、ここは悪役らしく、
君の大切な人にもついてきてもらいましょうか。
サク・・・一撃で眠らせて下さい。やはり私は女性を殴るのは嫌いです。』
『はい。』
閃光と共に何かがはじけた気が・・・した。
「あ―――――――――。」
意識が消える・・・
どうやらそれは、コーデリアも同じだったらしい。
『サクはコーデリア姫を。リノンさんは私が。』
ザ・・・ッ
『キッド君。
我々はトルレイト城にてお待ちしています。
彼女たちの身に危害を与えるつもりはありませんが・・・
遅ければ、手遅れになるということだけはご理解下さい。』
「ぅ・・・・・・」
『・・・それではまた、お会いしましょう。』