ACT.18 貴公子
『対するはァ!!赤コーナー!チーム・ライトニング!!』
フラッシュバックと共に2人の男が先立ってリングに上がり、最後に。
ザムッ!!
"やァ!みんな待たせたねっ!僕は”クロード・ネフェルテム”。人呼んでーっ!?"
「「「蹴撃の貴公子〜〜〜〜っッッ!!!」」」
「「きゃああああっっ!!」」
「クロード様ァァっ!!!」
「いやァーっ!こっち見たァ!!」
見てないから。それ幻覚というか幻想だから。
「・・・何なんだ・・・」
「予想以上だね・・・」
「・・・あのクロードという選手・・・観客を動かすのが上手いな・・・
それだけで、相手チームが萎縮するんじゃないか・・・?」
萎縮というかイラつくと思う。
「クロード様〜〜〜っ!!」
(・・・この姫さんってさ・・・すっげぇ、尻が軽いんじゃ・・・)
(・・・合ってるけど、ここはミーハーって言うべきだと思う・・・)
どっちにしたって姫失格。
「・・・・・・確かに5人ほど居ますね・・・しかし・・・」
「・・・気付きましたか・・・数名の輩が姫を狙っています。」
「・・・・・・国家転覆を狙うテロリスト・・・でしょうか。
しかし王族を人質に取ったとしても、ローテルダムが根底から覆されるとは・・・」
「・・・未だ公になっていないが、王族の1人・・・ユワト様が殺されています。」
「!・・・・・・あの方は総隊長への信頼が最も厚かった“国王派”の1人・・・」
「・・・2ヶ月前の事です。下手人は未だ・・・・・・」
「ならどうして、こんな場所に姫を・・・!」
当然の質問だ。
「姫を逃がす為です。」
「・・・・・・まさか・・・リカードさん・・・」
「・・・何者かにローテルダムは襲われようとしている・・・
昨日も既に騎兵隊員5名が惨殺されています。
姫を一時、首都より離す事を一先ずの安全策とするつもりです。」
「・・・・・・一体・・・世界に何が起こっているんです・・・」
ワァッ!!
"クロード!Bプランだ!"
"任せたまえ!"
「で、出るョ!T・ライトニングの必殺合体技!」
「うぉお!?」
皆の視線がリングに注がれる・・・それは、下手人にとって最大の好機・・・
もしかしたら、スタジアムという空間が最も暗殺しやすい場所なのかもしれない・・・
「・・・・・・ハッ・・・!姫、伏せろ!!!」
「えっ・・・・・・!?」
「魔力・・・!魔法弾・・・!?」
ガッッ・・・!!!キィィィンッッ!!
「覇ァアアアアッッッ!!!!」
魔法にはなり切っていない、魔力の塊を弾き潰す。
「そ・・・ソウジ様・・・ッ!!」
「そのまま、絶対に動くな、姫!リカードさん!」
「姫、私にお掴まり下さい。」
「う、うんっ!」
「リノン、俺と一緒にリカードさんの援護だ!」
「結界魔法!走れるよ!」
ダンッッ!!
「・・・よし・・・・・・(しかし、護衛の気配が・・・途切れた・・・)」
『・・・下手人はこの反対側・・・9番出口から既に出て、待ち構えているぞ。』
「――――――お前・・・」
少年の声・・・キッド達が言っていた者の事だと直ぐに察する。
『・・・護衛の5人なら俺と仲間が既に助けている。』
「・・・分かった。」
たッ・・・!
『・・・・・・ローテルダムを狙う連中とは違う―――・・・奴か・・・
どうも動きが読めない一派があるが・・・その連中にとって姫を殺そうが関係ない。』
『その様ですね・・・あの男の配下でしょう・・・あの護衛の忍の反応が悪かったのもその為・・・
ともかく、全員外に行ったようです。
護衛の彼らは既に救助済みでローテルダムに移送しました。』
『よし・・・これから別行動を。』
『ハイ。とりあえず、私は4ヶ月前に襲撃を受けたリブリスの視察を。』
『あなたは死んだことになっている。気をつけてください。』
『任せてください。では。』
タッ!
『・・・・・・残りは外か。』