ACT.19 黒と金色の男
「何だテメェら!!」
『・・・・・・そこの少女を・・・』
『ワタセ・・・・・・』
「・・・!魔力・・・見た目人間だけど、そいつら魔族に近いわよ!」
魔界には大きく分けて3つの階級的なものがある。
最下層にして大多数の魔物―――本能的行動を取るものが多い。
それらを指揮する魔族―――知能が高く、人間に近い身体を持つものが多い。
更にその上の魔人―――これは魔族の更に上位や人間が魔界と契約する事で成る存在。
それら全てを支配するのが魔界の王、魔王である。
「魔族って・・・」
「私たちがそう簡単に相手出来るようなレベルじゃないわ、魔法に限って言えば。」
「・・・・・・っ!」
ビギ・・・・・・ッ!!
(ッァっ・・・刻印が・・・!)
突然痛みが走るが沈静化する・・・
リノンには悟られていない。眼の前の魔族にも。
「何で魔界がこんな女の子に用があるんだよ。」
『お前の知るべき事では無い・・・渡せ。』
「人違い・・・っつっても、騙されねぇだろうから・・・倒す!」
『渡せと言っている・・・』
『渡せば、他には用は無い・・・・・・ワタセ。』
『『『ワタセ、ワタセ、ワタセ、ワタセ、ワタセ、ワタセ、ワタセ、ワタセ!!!!』』』
10人の外見は人間が迫り来る。下手に手出しは・・・
ザバッッッ!!!
「らァっっ!!フッ飛べ、ボケ!!」
『ぐぎゃあああっっっ!!!』
しちゃうんだよね、やっぱし。
『ルアアアアアッッッ!!!』
左薙、それを捌き、右腕を斬り裂く!
『ぐぎゃばああああっっっ!!!』
「あれ・・・俺ってば、ちょっと・・・強くなってる・・・・・・?」
「キッド!!上に2人!!」
サ・・・ンッッ!!!
『『―――――――――!!!』』
それら2人が塵に消える。
「すまない・・・少し遅れた。大丈夫か・・・?」
「1人倒したッス!」
「よし、よくやったな。あと6人か・・・・・・」
『何だ・・・コイツァ・・・!!』
『女!!テメェ、何モンだァア!!!?』
「・・・神刀流免許皆伝・・・ソウジ・イムラ。
コーデリア・ウィル・ローテルダム様への忠義の為、貴様らを倒す。」
『お・・・男だァ!?』
『人間ってのは男でも髪を伸ばすのか?』
『馬鹿か、知らねぇ・・・・・・うああああっっ!!』
「神刀流・・・・・・神羅劫劉閃。」
斬撃が一瞬にして3つの身体を塵に化す。
「さぁ・・・残り半分・・・さっさと来い・・・」
(・・・強い・・・これが、神刀流の次代師範の最有力候補・・・
カエデを既に超えているんじゃないか・・・?)
(ソウジ様、カッコイイ・・・)
「・・・キッド。これから、実戦が如何なる物なのかを見せる。よく見ておけ。」
フッ・・・!!
『『消え・・・・・・!?』』
「神刀流・・・・・・」
2人の敵の中心に立ち、体を捻る。
「神羅極円刃。」
ザシャアアッッ!!!
『なぁ・・・・・・・・・!?』
「残るはお前だけだな・・・・・・」
『うっ・・・こんな腕利きの野郎が付いてるなんて聞いてねぇぞ!
わざわざ、こんなトコまで追いかけて来て殺されたんじゃ』
魔界の者が情けなく逃げ帰るか・・・?
「「「?!」」」
『―――――――――うァア・・・っ・・・!!』
『貴様らなど奴の捨て駒に過ぎん下郎だ、仕方も無いか。』
『ヒィ・・・ッ・・・・・・うあぁああっ!!!』
突如現れた存在に怯える。
「何だ・・・この男・・・!!」
「いつの間に・・・!」
パ・・・・・・アアッッッ!!!
『――――――――――――・・・・・・!!!』
最後の一体を『魔力により』粉砕した男・・・
長い金色の髪・・・さっき見たクロードと似たイメージの色・・・
魔族の頂点にいる“魔人”。それを表す紅い眼、全身黒ずくめの長身・・・
全てを見ても異様な空気が辺りを支配する・・・・・・
「ぐっ・・・ああっっ!!」
「キ、キッド!?」
『・・・やはりな・・・・・・私のこの左腕もよく反応している・・・』
「―――ッ!?」
左手に輝く黄色の印―――刻印か・・・?
『だが・・・それよりも先ず先に、コーデリア姫・・・あなたに用がある。
来て頂けないかな・・・・・・?』
「「!?」」
「・・・んだコラ・・・訳分かんねぇコト言ってんじゃねぇぞ、テメェ・・・」
『・・・ほう・・・・・・紅の刻印を手に入れてからそう時間は経っていない様だが、
よく私の前で立っていられるな・・・・・・』
「・・・うるせぇよ・・・」
痛む・・・右手の指先から肩まで焼きつくように痛む―――
「・・・ブッ飛ばす。」
だが、関係ない―――そう言い聞かせる。
「渡すかよ・・・・・・ブッ飛ばす!」
『・・・・・・・・・良いだろう。来てみろ、小僧。』