ACT.20 閃光の刻印
(あの男・・・彼の刻印を見抜いている・・・
それに急に彼が痛がり出した・・・一体・・・・・・)
リカードの疑念を他所に
「・・・出ろッ!!!火炎ッ!!」
キッドから炎が放たれんとするが、
『・・・持っているモノは最高級だが・・・器は余りに小さ過ぎる・・・』
火炎を放つ前に思い切り殴られ、吹き飛ばされる。
「ぐあああっっ!!」
「キッド!!」
ドシャァ・・・ッ!!!!
『・・・大体・・・全く使い方が分かっていない・・・恐るるに足りずか。』
「・・・魔界の者だな・・・?」
キッドにはリノンがついて治療している。
心配は要らない、自分(ソウジ)が戦い退ければ良い。
「何が目的で姫をさらおうとしている。言え。」
『・・・言ってどうする・・・?これから死に逝く者』
ドバ・・・・・・ッッッ!!!!
男の周囲が爆発・・・?を起こし、そこに向かって風が吹き荒ぶ。
『・・・ここまで来ていたか・・・小僧・・・・・・』
『・・・半年振りだな・・・ヒルダンテス。』
「あ・・・!あの時の!」
緑髪の剣士・・・!
(ヒルダンテス・・・・・・まさか・・・)
(ソーライト王国の特務大臣・・・あの事件の後に姿を消したと・・・)
『・・・その様子だと・・・お前も見つけていない様だな・・・ロックハート。』
『・・・・・・あぁ。あの時以来、ずっと探し続けている・・・
諦めた訳ではなさそうだな・・・手に入りやすい石・・・
いや「鍵」に切り替えることにしたか・・・!?』
『・・・まぁ・・・そんな所だ・・・プリンセスは既に3人集まっている・・・
残り3人・・・お前の愛しいクリスティーナと・・・
恐らくはコーデリア姫も1つ持っている・・・未だ最後の1人は分からんが・・・』
『貴様・・・・・・』
ロックハートが構える。
『・・・クク・・・頭の悪さは変わっていない様だな。我が刻印を前にして。』
バチィッッ!!!
「か・・・雷・・・!!」
「あの魔力、キッドの刻印と同じ質・・・!」
『・・・そこの3人・・・と寝ている1人に教えておいてやる。
奴の名前は“ヒルダンテス”・・・「閃光の刻印」を持つ魔人だ。
この男を退けた後もまた、少し教えてやる。お前達が関わろうとしている事の重さをな。』
ヒルダンテスという男が左手から雷を出したと同時に、
ロックハートも右手を握り締め、解く・・・そこから風を喚び起こされる。
『いや・・・ここで殺してからだ・・・!』
『たった1人の人間もまともに守れない男が・・・よく言う・・・』
『・・・・・・五月蠅い男だ・・・貴様には出し惜しみする必要も無いな・・・!』
ドォッッ!!!
「わっ・・・!!」
「す、凄い風が・・・!」
『・・・・・・貴様に・・・クリスは渡さん・・・!』
魔力の風が荒ぶる―――!
更に強大に、強靭に吹き荒れる!
『・・・僅か半年でそれ程の魔力を制御出来るようになったのか。「ゼロ」の分際で。』
(ゼロ・・・!?)
(魔力を全く持っていないのか・・・!?)
『殺す・・・・・・!!』
ロックハートが走り、同時に風が右腕に収束されていく。
『喰らえッ!!!』
『クク・・・・・・だが、分かっていないな・・・守りの風では・・・』
バギャガアアアッッッ!!!!
『我が雷には敵わん事を!』
ヒルダンテスに風の拳が当たろうとした瞬間、雷が襲う。
『―――――――――ァッッ!!!』
閃光一閃 ――― ロックハートの風が破られ、そのまま吹き飛ばされる。
「リノンさん!衝撃吸収の魔法だ!」
「は、はい!」
柔らかい土を生み出し、吹き飛ぶロックハートを受け止める。
『・・・この「閃光の刻印」には到底敵わん・・・
貴様がゼロでなかった時と話は多少なりとも変わってはくるだろうが・・・
私が相手である時点で貴様に勝機は無い・・・』
『ゴほっ・・・・・・!!』
(あれ程の魔力を・・・一撃で・・・刻印があろうと無かろうと、
この男、魔人と言ったが、その中でもかなり上位だぞ・・・・・・!)
『さて・・・さっさと渡して貰いたいのだがな、
と言うより来て頂けないかな、コーデリア・ウィル・ローテルダム姫。』
チャキッ!
『・・・・・・ほう・・・・・・』
「悪いが、姫は渡せないな・・・・・・」
『・・・小僧・・・・・・名は・・・?』
「・・・ソウジ・・・イムラだ。」
『―――――――――・・・なるほど。』
(え・・・・・・?)
(知っているのか・・・!?)
そう見えたが分からない。
『・・・・・・奴は殺し損ねていたのか・・・・・・』
いや、知っている―――!
「・・・貴様・・・・・・まさか姉」
バキッッッ!!!
「がはっ・・・・・・!!(右から・・・?見えなかっ・・・・・!)」
『知らんな。』
「ソ、ソウジさん!!」
「リノン様、姫のお傍に居てください。私が相手を」
ドんっっ!!!!
「・・・・・・・・・ァアア・・・・・・!」
「キッド・・・・・・!?」
突如炎が渦巻く―――!
「オオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!!」