ACT.23 二度と・・・!
「―――!チッ・・・煙の匂いだ・・・」
「うわっ・・・!!ケホッ!」
城下町に程なく近い、ローテルダムの森・・・
その中に黒煙が僅かながら立ち込めてくる・・・
「人間の血の匂いと・・・
魔物の屍骸臭もする・・・既に始まっているぞ・・・!」
(な・・・何で、コイツそんなコトまで分かるんだ!?)
(元々、彼はデーモンバスター・・・魔物に対する技能に優れているんだ。
感覚的、または五感的な能力で察知しているんだろう。)
「―――・・・一度お止まりを。」
リカードが声をかけると同時に彼女が手裏剣を投げる。
『ギャアアアアアッ―――――――――!!!』
「気にせず走り抜けて下さい・・・私が一撃で仕留めます。」
「すっげぇ・・・流石くノ一・・・って・・・何で姫様が偉そうに・・・」
「リカードは私が選んだエリートなんだョ。威張ってトーゼン。」
「「「ハハ・・・・・・」」」
何度か魔物と交戦しつつ、森を抜ける。
ザッッ!!
「「「―――――――――!!!」」」
「そ・・・そんな・・・っ!」
森を抜けるとそこは少し小高い丘になっており、
ローテルダム城下町を見渡せるようになっている。
しかし、今見えるのは・・・
「魔物の大群・・・!」
ドォンッッ!!!
「ああっっ!!城が・・・っ!!」
「リカードさん!騎兵隊は出撃出来る状況なんですか!?」
「あ・・・あぁ。彼からの手紙で総隊長が出来る限りの準備を整えているが・・・
だが・・・即日なんて・・・!」
「チィッ・・・!!」
ダンッッ!!
「おい、お前ッ!!」
「俺の前で・・・2度と同じ事は起こさせん!!見ている暇があるのなら来い!
民を救わなければ、この国は崩れ落ちるぞ!!」
そのまま駆け下りていく。
「・・・アイツ・・・・・・2度と・・・って・・・」
「お前も知っているだろう・・・半年前のソーライト事件を・・・
魔物に本国が襲われ・・・人々は死に、その果てに心は荒み、
略奪と暴虐が繰り広げられ・・・再生不可能になったあの事件を。」
「し・・・知ってる・・・」
テレビで見た事がある―――あるだけだ。
だが、ロックハートはその渦中に居た―――
「・・・・・・アイツ・・・・・・行こう!」
ロックハートの後を追い、皆も走る。
「我々、騎兵隊の上官や近衛に入った極秘情報では、
彼はその事件の核心に最も迫っていた人間である・・・と。」
「もしかして・・・・・・あのヒルダンテスっていう男が・・・!?」
「・・・彼の様子からすればそうだろう・・・」
「コーディにも分かるように言ってョ!!」
「あの金髪の男がソーライトの事件を起こし、
今、このローテルダムを襲撃しているんですよ。」
「・・・お爺様(現国王)が危ない・・・!!コーディも戦うョ!」
「姫は手を出さなくていい。あなたは行く末を見守り」
「この国はみんなの国!
みんなを見守らなきゃならないコーディが戦わなきゃダメだョ!!
逃げたら笑われちゃうもん!そんなお姫様になんかなりたくないもん!」
タッ!!
「姫・・・・・・(あなたは私が思っている以上にあるべき姿を分かっておられる様だ。)」
「我々が居れば姫にもそして、町にもソーライトの様な惨劇にはさせない。」
「この龍の力でみんなを守って見せる!行こう!!」