ACT.24 大火/誇り


「散れ!!そして消え失せろ!!2度もあの様な事をさせるか!!
 魔物も魔族も魔人もこの俺が全て斬る!!」

ザザンッッッ!!!

『『『ギャアアアアアッッッ!!!』』』

「おい!お前らは騎兵隊だな!」

降り立ち、応戦する隊員たちに叫ぶ。

「な・・・なんだ、このガキ・・・」

「住民を丘の上に避難させろ!!町は俺と後から来る連中がどうにかする!
 魔物は俺達が倒す、人間はお前達が守れ!!」

「バ・・・バカを言うな!何処の誰とも知れぬ。」

「黙れ。」

ギンッッ・・・!!

「あぅ・・・・・・・・・(これが殺気・・・ってものなのか・・・!?)」

「いいから俺の言う通りにしろ・・・・・・お前たちに出来るのはそれだけだ。」

「た・・・隊長・・・!」

「総隊長からの命は元より住民の安全確保!与えられた使命を遂行するしかなかろう!」

「行け・・・ここをソーライトと同じにはせん。」

ダッ・・・!!

「・・・・・・そして、出て来い・・・」

背後の民家の屋根を振り返らずに睨む。

『お主は中々・・・キレる様だな・・・・・・』

「・・・・・・魔人か・・・・・・」

『・・・如何にも。拙者はカタルカス。ヒルダンテス様の左の大刀・・・』

ドンッと巨大な剣を地に叩きつける。
目の前に居る男の体躯はさほど大きくは無い。
が、筋肉が締まっているのは眼に見えて分かる。

「・・・・・・(・・・この体格・・・まさか・・・・・・)」

ゴォッ・・・!

「如何なる武器であろうと風の前では無意味・・・・・・何より・・・」

ロックハートの身体が一瞬浮いたと思うと同時に消える。

『・・・・・・フッ・・・ハァッッ!!!』

下からの斬撃を受け止める・・・巨大刀で・・・

「――――――。(速い・・・腕力だけではない・・・動体視力に優れているな・・・)」

『はて・・・・・・何より・・・の後が聞きたいな。』

「誰が相手だろうと関係ない・・・・・・蒼覇(ソウハ)!!」

受け止めている巨大な剣ごと敵を刀で押し上げる。

「赤天斬(セキテンザン)!!!」

ザガガガッッッ!!!!

『ッハァ!!!浮力を使ってみたのか!しかし、拙者を空に飛ばしたのは間違いだな!』

「・・・・・・空中からの加速で大衝撃の一撃を繰り出す気か。
 (しかし・・・この男・・・見覚えが・・・この口調・・・聞き覚えが・・・)」

『オオオオオオオオオオオゥッッ!!!』

巨大な剣の重量により想像以上の落下速度を見せる。

「!貴様・・・!!まさか・・・!!」

ドォンッッッッ・・・・・・カアアアッッッッ!!!!

「――――――ァっ・・・!!」

『グヌ・・・・・・ッ!!外したか・・・ッ!』

爆発的な衝撃で周りの民家の壁が抉られる。

「・・・どうして・・・・・・どうしてお前が居る!!」

『・・・・・・』


ドロ・・・・・・ッ・・・


『別に隠すつもりはなかった・・・が、便宜上・・・な。』

「・・・ソーライト王国・・・対魔族専任剣士隊(デーモンバスター)・・・
 隊長・・・スワン・ホーゲル!!!」

顔を覆っていた何かが完全に落ちる・・・

『久方ぶりだな・・・ロックハート・・・・・・拙者の姿を既に見破っていたか。』

「・・・・・・お前は・・・・・・俺があの時・・・半年前に殺したハズだ。」

『それは・・・人間だったら・・・の話だろう・・・?
 お前と戦ったあの時点で拙者は既に魔界に身を売り、魔人カタルカスとなっていた。』

「貴様・・・・・・国王があれだけの信頼を置いていたのを知っておきながら・・・!」

憎悪が漲る―――

『見切りも必要であろう・・・・・・』

「・・・デーモンバスターの誇りはどうした・・・人としての誇りは!!
 民を守るための力をどうしてこんな事に使う!」

『・・・誇り・・・・・・そんな物、幾らあったとて、意味は無い・・・
 今の拙者にあるとすれば・・・敵は全て至損ずる事無く斬り捨てる、武の心のみ。』

「貴様・・・・・・」

『かかって来たらどうだ・・・燃えるぞ・・・?町が・・・』

「・・・・・・殺す!!」