ACT.25 大火/殺意


同刻
「アイツ何処に行ったんだ!?」

「・・・あっちの方で凄い魔力が生まれてる・・・この感じ、彼のだと思う。」

間違いない、風属性の魔力が立ち上っている。

「どうするんスか!?あいつの事は信用出来るっつっても・・・」

「・・・僕らが下手に手を出しに行くよりもまず、城へ向かおう。
 どうやら騎兵隊は住民救出の為に動いている様だ・・・
 ここは先ず、城へ向かい国王を守っているだろう総隊長の元に。」

「そうッス・・・・・・火炎ッ!!」

飛んでくる何かにそれを放ち、燃やし尽くす。

「・・・飛び道具・・・(魔力の塊だ・・・)」

「あっちからね、消火も兼ねて・・・水魔法チェレステ!!!」

指定方向の上空に魔方陣が生まれ、水が滝の様に落ちる。

「皆・・・先に行っててくれないか・・・」

「せ、先輩!?」

「どうやら、僕に用があって来ているらしい・・・」

「ソウジ様・・・!」

「・・・大丈夫ですよ、姫。まだ、約束を守っていないでしょう?」

「・・・うん!頑張って、やっつけちゃって!コーディも頑張るョ!」

「その意気です。ここは僕に任せて下さい。」

4人が城へ向かって走っていく。

「どうやら・・・僕とロックハートを潰しておきたいらしいな・・・」

『クックック・・・・・・まぁ・・・た・・・会うとはねぇ!』

「・・・!鬼・・・・・・鬼族か・・・(当たりか・・・?)」

ザムッ!!

『・・・・・・ククッ・・・』

一本の角に赤みを帯びた浅黒い肌、
長い腕と爪、水色の髪、金色の瞳は鬼の特徴・・・

『なんだ・・・未だ生きてやがったのかァ・・・・・・カエデ・・・イムラ・・・ァ。』

「・・・・・・貴様・・・・・・・・・」

『ん・・・?なんだ・・・似てやがると思ったが・・・』

「貴様・・・・・・姉さんを知っているんだな・・・」

『姉さん・・・・・・なァる・・・殺し損ねたイムラのガキか・・・』

ヴンッッ!!

『おうっ!?消えた!』

「貴様か!!!貴様が姉さんを殺した・・・魔族か!!!」

小太刀で牽制し、太刀で貫こうとする。

『ハハハハッ!!これはこれは、愉しくなりそうじゃねぇかよ!』

しかし、刀より長いリーチを持つ鬼の腕によって弾かれる。

「くっ・・・・・・!」

『成る程ねぇ・・・あのガキが・・・変わったじゃねぇか・・・?』

「・・・質問に答えろ・・・・・・姉さんを殺したのはお前だな?」

『・・・さぁて、なぁ?まぁ、目的の邪魔になる存在の1つだったからなァ。』

再びソウジの身体が消える。そして、上空に移る。

『ケッ・・・・・・やる事成す事似てるみてぇだな・・・』

長い腕がソウジの身体を貫く!・・・が・・・

「嘗めるな・・・」

『アァ・・・ッ!?分身・・・だと・・・!?』



シン ラ キョウ ホウ ジン
神 羅 鏡 崩 刃 !



『がはっっ・・・・・・!!!』

「・・・神刀流分身術・・・神羅鏡崩刃。見切れなかっただろう?」

一瞬の出来事だった。
確実に貫いたはずの体は幻影と化し、本体は鬼を切り裂いた。

『なァる・・・・・・ほどねぇ・・・姉の仇を求めて生きてきたって感じか・・・?』

血が殆ど流れていない・・・

「(・・・流石は鬼・・・『皮膚』ではなく『装甲』と言われる程の防御力・・・)
 あぁ・・・・・・貴様と会える日を、殺せる日を待ち侘びながら生きてきた。
 貴様を恨み憎み、己の無力さを呪いながらな・・・!!」

『・・・クク・・・・・・とんだ・・・マヌケだぜ。』

「何・・・・・・?」

『どんなのかと思ってみれば・・・この程度のガキとはなァ。』

「・・・・・・免許皆伝が飾りで無い事を身を以って思い知らせてやろうか。」

『ハッ・・・どうだって変わらねぇよ!テメェは全く分かっちゃいねェ!』

「何?!」

『分かっちゃいねぇんだよ、バカが。』

「・・・・・・。」