ACT.27 大火/愚
『ぐぬッ!!!かはああっっっ!!!(抜刀の一撃目に次ぐ、刺突の二撃目!!)』
「―――覇アアアアッッ!!!!」
左肩に刺さった刃を回転させながら・・・抉りながら抜く。
「ハァッ!!!」
ズブシュウウウウッッ!!!!
『ぐぉぉ・・・ッ!!ロックハート・・・ッ!貴様!』
「気安く俺の名を呼ぶな!裏切り者が!
裏切られた者達の想いを俺が全て貴様にぶつけ、殺してやる!!」
『かハァ・・・・・・愚かな男だ!』
バッッ!!!
「くっ・・・――――――っ。(血で目潰し・・・!)」
『ァァッ・・・・・・そんなに姫君が愛しいか!?あの程度の愚族の』
「クリスを侮辱するなよ。何より、愚かなのは貴様だ。」
『ハーッハッハッハ!!!』
「何が可笑しい!!」
『お主にデーモンバスターの誇りとやらが、近衛としての誉れがあるのなら、
己に流れるその血をもう少し恥じたらどうだ・・・・・・?』
「――――――。」
『実に愚かしいぞ・・・・・・』
カタルカスの左肩の傷が少しずつ癒えて行く・・・
『可笑しいのはそれだけではないな・・・
一国の奇麗事好きな姫君と・・・その戯言を守る騎士の恋物語・・・か?
叶わぬモノに命を賭ける・・・それを愚かと言わず、何と言えばいい?』
ザアッッ・・・・・・!!
「言っただろう・・・・・・クリスを侮辱するな、と!」
風が巻き起こる!
『・・・・・・(今までになく風が集まってきている・・・気付けば・・・
周辺の焔が既に消滅・・・ゼロであっても、刻印を持つと変わると言う事か。)』
「俺の事は何とでも言えばいい・・・
だが、クリスティーナを理解不能な言語で穢すな。
あらゆる痛みを以って貴様を殺してやる。」
『・・・・・・そろそろ、終わりの様だ。また・・・何も出来ずに終わりそうだな?』
「!貴様・・・!!逃がすか!」
固めに固めた風の刃を放つ。
『フン・・・・・・しかし、刻印を持てども、変われども・・・やはりゼロか。』
斬ッッ!!!
「―――――――――!!」
砕かれる・・・!
『また会うだろう・・・貴様としても拙者を殺したいだろう?!』
フ・・・・・・ッ・・・
「・・・・・・スワン・・・・・・いや・・・カタルカス・・・」
ほぼ同刻
「メノウさんっ!!」
「―――!キッド君・・・!?それに、リノンちゃんに王女様・・・!?」
「良かった・・・ここの人達は未だ無事みたいッスね・・・!」
「え・・・えぇ・・・何とかみんな持ち堪えてますわ・・・
でも・・・どうして・・・?」
「メノウ、私達がここに居る事は後でだ。この場の状況を話せ。」
「リカちゃん・・・えっと・・・もう既に城周辺の住民は退避させていますわ。
ここに残っているのは、この場の防衛隊・・・」
ちゃん付け、なのは彼女達が同期だからである。
もっとも、リカードは必ず名前で呼ぶが。
「・・・なるほど。向こうで彼が戦っている。お前は助けに行ってやれ。」
「ソウジ・・・君が?分かりましたわ。でも・・・」
「ここの魔物は俺達が全滅させるッスよ。」
『クカアアーーーーーっ!!!』
ボンッッッ!!!
「人を殺そうとする奴は俺の炎で塵にしてやらぁッ!」
「――――――!(凄い魔力の塊・・・魔法の域を超えている・・・!)」
「行きな、メノウ!姫の事もこの場の事も私らに任せればいい。」
「分かりましたわ、無事で!」
タンッ!
「って・・・行ってもらったけど、メノウさん何を出来るんですか?」
「・・・普段はただの司書だが、非常事態には唱術のエキスパートになれる女よ。」
「唱術・・・?」
「バカ、魔術の本の呪文を読んで発動する高等魔術の事よ!正式名称、魔本唱術!
魔術の本は媒介の中で最も強力だけど、その分、扱いが難しいのよ!」
(知るかよ・・・んなモン・・・)
剣術を選択してたら、知らなくても仕方は無いけどな。
「この辺を一掃したら、城内に入りましょう。」
「うッス。中に嫌な気配がある・・・親玉かも・・・」
「うん。早く行かないと、大変な事になるよ・・・!」