ACT.28 大火/虚偽
数分後
「神羅ァッ!!」
ガギギッッ!!
『ハハハハハーーーッ!!!』
「穿滅斬(センメツザン)!!」
ぎっっ!!!
「ッッ・・・・・・!」
思うように斬れない。
ダメージすらまともに与えられない―――
『無駄だぜ・・・?魔力を込めた刺突なら刺せるだろうけどな・・・
そんな程度じゃ鬼の装甲を貫く事は出来ねぇ・・・よ。』
「・・・・・・・・・」
『アァ・・・?よーく“見て”みりゃ、お前・・・魔法使える程の魔力がねぇな・・・
それじゃぁ・・・魔法で殺っちまった方が抵抗力が少なくて楽か。』
「・・・撃ってきてみろ・・・」
『・・・ケッ・・・望みどおりにしてやらァッ!』
道路のレンガが中に浮き、周囲の炎がそれらを取り囲む。
『溶岩術!インフェルノメテオだ!!』
十数個の火炎の岩が飛び交い、襲い掛かる。
「神羅・・・・・・」
ザンッッ!!!
『―――――――――!!』
完全粉砕―――
「極円刃・・・・・・残念だったな、僕は刃の力だけで大抵の魔法を斬れる。
僕は確かに魔法を使えはしないが、魔法には相応の隙がある。」
『この野郎・・・・・・だがよォ・・・オメーに簡単な魔法は効かねぇが、
オメーの剣は俺には効かねぇ・・・五分五分に見えるが・・・』
「・・・体力・・・スタミナの差が違うと・・・・・・?」
『魔族の中でも鬼は体力に優れ、三日三晩戦っても大丈夫なんだぜ・・・?
それに比べて人間は3時間もすりゃ、完全にバテる・・・
スピード戦なら尚更速く・・・な。』
鬼が魔族の中でも最上級に位置するのは先に述べた装甲と体力、
そして生まれながらの戦闘能力にある。
更に溶岩などの火炎系の術と火炎に対する防御力―――
例え逆属性である水を以っても早々に倒すことは出来ない。
「もっともそれは・・・相手が剣士ならの話・・・ですよね?」
『―――!(魔力・・・!)』
「天翔ける也・・・・・・閃光の刃!!」
ズバッッ!!!
『ぐごっっ・・・!!ふ・・・普通の魔法じゃねぇ・・・ッ!』
衝突部位から煙が生じる・・・
「メ・・・メノウ・・・さん!?」
「キッド君達が助けて下さったのでここに来たのです。」
(何とか上手く行ってるみたいだな・・・)
安心する。
もしかしたらこの鬼の配下の者が居たかもしれない。
例え、戦闘能力の高いリカードが居ても苦戦は必死・・・いや、最悪死ぬ―――
『メノウ・・・・・・?
――――――まさか、テメェ・・・“戦慄の”!!』
「あら・・・私の事をご存知ですの・・・?」
分厚い本の目的のページを一発で開く。
「この男・・・姉さんの仇かと思ったが・・・違うようです・・・」
「・・・そう。でも、倒さなければなりませんわね。魔本唱術・・・・・・」
黒い本が黒い光を放ちながら輝く・・・
「無を揺るがす也・・・・・・」
ゴッッッ!!!
『―――――――――!?身体が・・・動かねぇ・・・!』
「大氣掌握。」
詠唱終了と同時に鬼に向かって凝固された大氣が移動する。
『ガッッ・・・!?がはぁっっ!!』
バキキッッ・・・!!べきッッ・・・!!
『ぐぎゃあああっっ!!!身体がッ!!』
強固な肉体が空間収束魔法によって崩れる。
「これでいけるハズですわ。」
「ありがとう・・・神羅穿滅斬!!!」
穿滅斬の第一撃は刺突で穿つ・・・!
『がフッ・・・!ヘケケ・・・・・・その程度の腕じゃぁ・・・仇とやらも取れねぇな。』
「やはり・・・お前じゃなかったか・・・・・・」
『クックック・・・・・・テメェ程度じゃあの方は無理だな・・・ヒャハハハッ!!』
第二撃は刺したまま切り裂く・・・!!
『―――――――――!!!』
ぼシュゥゥゥ・・・・・・ッッッ!!
「相手がどんなに強かろうと・・・必ず殺すと決めている・・・・・・
どんな手を使ってでも、必ず殺す。」