ACT.29 大火/覆面


天守

「国王!命に代えてもあなたはお守りします!もう暫し、ご辛抱を!」

ザッッ!!

『カァァアアア・・・・・・・・・ッ!!』

「しかし、クライセントよ・・・その怪我では・・・・・・」

「騎兵隊ではこの程度の傷は掠り傷と言うんですよ。」

槍を構える。

「さぁ、来い!!全てこの俺が薙ぎ払ってくれる!!」

『グゥ・・・・・・ガアアッッ!!ファイア!!』

「!(火炎魔法!低級の火炎弾だな。)」

1歩前に出、構える。

「俺に火炎魔法を使おうとはな。紅閃煉撃!!」

ズバッッ!!!

『ギガ・・・!?』

「そしてそのまま利用させて貰おうか!!!」

敵の火炎を槍に纏わせ、そのまま敵を射抜く。

『グボホッッ!!!が・・・・・・・・・』

「ク・・・クライセント!上じゃ!!」

「心配御無用!」

腰を落とし、天井の敵に対して槍を向ける。

「槍天刄(ソウテンジン)!!」

『がギャああアッッッ!!!』

「そのまま散れェッ!!!」


ザバンッッッッ!!!


「おお・・・!素晴らしいぞ、クライセント!」

「先の巨大な魔物に比べれば、大した事ありませんよ。」 

「そう卑下る事は無いぞ。やはりお主は素晴らしき男だ。」

「いえ・・・(なんだ・・・この妙な気配は・・・・・・)」

黒さが見え隠れする魔力―――
クライセントは魔力を読むと言う動作は余り上手いとは言えないが
それでも分かる何かが潜んでいる―――

「侵入した魔物もほぼ倒した様じゃ・・・・・・と言う事は・・・」

「―――――――――!!」

首目掛けて一閃が飛ぶ。

「っ・・・・・・!!(速い・・・いや・・・それより・・・!)」

「次はお主に散って貰わねばならぬようだなァ・・・・・・?」

「国王・・・!」

国王から発せられる邪気―――

「いや・・・貴様・・・何者!」

こんな近くだからこそ気付かなかった・・・?

「フフ・・・・・・知る必要も無い。」

バァンッッ!

「総隊長!加勢に来まし・・・・・・!?」

「え・・・?なっ・・・!?どー言う事ッスか!?」

「リカード・・・それにキッド君・・・!?戻ってきていたのか!?っ・・・!」

ググッッ・・・!!

「な・・・何でこんな事に・・・!?」

隊長と国王が相対している・・・

「(・・・ま、遊びね・・・)反逆じゃ!!この男がこの襲撃の黒幕じゃぞ!!」

「「―――――――――!!」」

「貴様、何をバカな!」

「助けてくれ!もう、身体が持たん・・・!!」

わざとらしく、よろめく。だが―――

「・・・・・・お爺様じゃないョ・・・あれ・・・」

「え・・・・・・?国王じゃない・・・?」

「コーディの目を誤魔化そーったって、上手く行かないんだから!
 そこに居るにはお爺様じゃない!クライセント!手加減せずやりなさい!!」

「(姫・・・!良くぞ気付いた!)おおおおおおっっ!!!」

バギ!!ガッッッ!!

「がはっっ・・・!!」

国王?・・・が、倒れる。

「フフ・・・・・・まさか、お孫様が出てくるとは思いもしなかったわァ・・・』

「「お・・・女・・・・・・!?」」

の声―――

『まぁ・・・でも、そっちの方がアタシとしては楽なんだけどねぇ・・・』

バッッ!!

「紅い眼・・・・・・魔人・・・!」

血の色が濁ったような髪の毛で右目を隠している女―――。
見た目は20代だが、魔界に魂を売った人間・魔人の特性から
見た目どおりの年齢では無いかもしれない―――

「変装してた・・・!?」

「貴様!国王をどこにやった!!」

『国王・・・・・・?あぁ、あのジジイなら・・・とっくに殺してるね、今朝。』

「「「―――――――――!!!」」」