ACT.31 涙を流すのは
人はいずれ死に逝く。それが必然を示す最たるものである。
ただ、そこに行き着くまでの過程は違う・・・
ローテルダム・・・いや、世界を半世紀に渡り、
和を以って国を守り、人々を導き、人々に導かれてきた彼・・・
ローテルダム王国第七十九代国王『レオン・サン・ローテルダム』は
争いによってその命を落とした・・・在位は前年40年、後年10年余り―――
2日後、新聖暦2590年7月10日・・・その国葬。
“引き続き、レオン国王の国葬の模様をお送りいたします。
1時間弱で既に数十万人もの国民が集まり・・・”
「・・・献花は終わったのか・・・?」
「・・・・・・あぁ、一応な・・・・・・」
「・・・ロックハート君は・・・?」
「・・・・・・俺には・・・そんな権利は無い・・・」
両手を強く握り締めているのが分かる・・・
「・・・俺には守るべき人間が居る。
だが・・・その眼の前で守れなかったモノが幾つもある。
俺1人で・・・ソーライトを元の姿に戻す事など不可能かもしれん・・・!」
ギリッ・・・!!
「だが・・・それ以前に・・・あの男を殺せなかった・・・!
そして・・・今も・・・守る為の力がありながら、また大勢の人を・・・!!」
ガンッッ!!
「・・・ロックハート君・・・・・・」
「俺が唯一分かっていたのに・・・・・・無力すぎる・・・・・・」
また同じなのだ。
ソーライトでも国王やその側近が大勢殺され、仲間も殺された。
自身もまた大切な人を守る為にと戦ったが、
その人は今、誰にも行方が知られていない。
「・・・自惚れてんじゃねぇよ・・・」
「・・・アホが・・・誰が自惚れていると・・・」
「違うって・・・」
ケンカのつもりなんてない。
「こんな残酷な事・・・1人で止めれる方がどうかしてる・・・」
「・・・・・・・・・」
「誰も悪くなんかねぇんだよ・・・誰にも責任なんか無ェ・・・
ただ悪いのが・・・・・・ヒルダンテス達って事だけ・・・それだけだよ・・・」
“国王はこれまで数々の・・・・・・”
「・・・姫・・・こんな所にいましたか。リカードさんも探していましたよ。」
「・・・あっ・・・・・・」
涙をぬぐったように見えた。
「ソ・・・ソウジ様まで葬儀のお手伝いを・・・?」
「・・・はい・・・国王には様々な面で言い切れぬほどの・・・」
「ありがとう・・・お爺様も喜んで下さってるョ。」
「・・・姫・・・・・・」
「えっと、今度ね、時間作れそうだから、約束の」
「姫・・・・・・!」
「コーディね、東の方は未だ余り行った事がなくて」
「姫・・・無理をされる必要は無いんですよ。」
「・・・む・・・無理なんかしてないもん・・・コーディは・・・
コーディはこの国のたった1人の王女だから、泣かないもん。
・・・みんなを守らなきゃいけない私が泣いちゃダメだから・・・」
ぽ・・・ たっ・・・・・・
「泣いちゃ・・・・・・ダメだから・・・」
「・・・大切な人を失った時は誰でも・・・
誰にでも等しく涙を流す権利はあるんですよ。例えそれがあなたであっても。」
「―――――――――っ・・・!」
「・・・あなたは強い。
強く優しい方です・・・ですが、だからこそ・・・
涙を流さなければならない・・・それは弱さではないのだから・・・」
「う・・・・・・っ・・・ぁぁっ・・・!!
うああああああああっっっっ!!!」
何故だ・・・どうして・・・こんなに小さな子が泣かなければならない・・・
僕に・・・力がなさ過ぎるから・・・・・・同じ様に・・・
“引き続き・・・・・・お送り・・・します・・・”