ACT.37 抗争/小さな両肩
数時間後
「せ・・・先輩がケンカ吹っかけた・・・!?」
「本当ですか!メノウさん?!」
「え・・・えぇ・・・参加した第一大隊の隊長方に聞いたのですが・・・
ソウジ君・・・あのラゥム様を相当責めた・・・というか、攻めたそうで・・・
そうしたら、相手方の伏兵との一対一になったそうで・・・」
「マジかよ・・・でも、あの先輩がそんな無茶な・・・」
一対一よりもソウジがそこまでしたコトの方が驚きだ。
そんな大胆な事はしない人だと思っていたが・・・
「・・・カエデちゃんの事があるから・・・仕方ありませんわ・・・」
「そういえば・・・メノウさんとリカードさんとお姉さんは同期だ・・・って。」
「えぇ・・・・・・3人、所属は違っていたけれど、親友でしたわ。」
ゴッ・・・!!
「「わぷっっ・・・!!」」
窓から風が入る。
魔力を帯びた風―――刻印の物だ。
「・・・カエデ・・・イムラ女史か。」
「な・・・何だ、オメー(ロックハート)か・・・」
「・・・どうやら、国民選挙に持ち越されたらしいな・・・テレビで大騒ぎだった。」
「お前・・・・・・電気ちゃんと消してきた・・・?」
「・・・・・・知らん。」
↑言われると不安になる奴。
「って・・・俺ってば今、道場のバイトで一杯一杯なんだぞ!?
幾ら補助されてるからっつってもなァ!」
ポンッ。
「なっ・・・・・・」
「小切手・・・?」
ソーライト王国の印も押されている。
これはこの国の騎兵隊などの軍部でも上位の者しか持てないモノだ。
「俺はいずれソーライトを元の姿に戻す。そうしたら、給金で幾らでも返礼してやる。
もっとも・・・お前が刻印を自在に操り、あの男を倒す事が出来たらの話だが・・・」
(・・・世界見てるよ・・・コイツ・・・つーか、俺って・・・小さい・・・?)
(結構・・・小さいよ・・・てゆーか、狭いよ視野が。その上、ダサい。)
(・・・_| ̄|○||| )
最後は関係ないんじゃ・・・
「えっと・・・初めまして・・・ですよね・・・?」
「・・・メノウ・・・クルストだったな。
名前は聞いている・・・(なるほど・・・この人が・・・)」
「えぇ・・・・・・あの、カエデといつ・・・?」
「3年前に総師範になられた時に。
まぁ・・・・・・あまり言いたくは無いが・・・」
「・・・じゃぁよ・・・先輩の事もしっかり知ってたのか?」
「・・・会った事はなかったが、彼女から聞いていた・・・・・・
無論・・・奴が免許皆伝した1年半前には既にソーライトにも名は轟いていたがな。」
「あ・・・そう。(先輩もスケールでけぇよ・・・)」
比べる方が間違ってる。
「それで・・・コーデリア姫はどうしている・・・」
「あぁ、国弟派が何かしでかすかもしんねぇから、
リカードさんや先輩がバッチリガードだってよ。俺とリノンも交代で手伝うし。
城に常備待機してる第一大隊と第四大体は総動員だ・・・ちょっとした戦争だぜ・・・」
「・・・・・・今更言うな、アホが。それで、姫はやる気が有るのか?」
「満々だったよ。『外で宣伝する〜!』とか言って。」
「王族は議院とは違って街頭演説出来ませんからね・・・
テレビ演説だけですわ。しかし・・・・・・」
ザッ・・・
「あなたも少し危惧している様だな・・・
恐らく、イムラやクライセント総隊長も同じだろう・・・」
(ソウジさんとか、さん付けで言えよ・・・年上なんだから。)
「一見、誠実そうに見えるラゥムか・・・アイドル級のコーデリア姫か・・・
ここで危険なのは演説内容と彼女の『様子』だ・・・
万が一、機械の様に喋ってしまったら、
国王派は彼女を利用しているに過ぎなくなってしまう。」
「彼女が彼女の本当に心の籠もった言葉じゃなきゃ・・・ダメだって事だよね。」
「あぁ・・・・・・」
(やっぱ・・・政治の話は苦手だぜ・・・)
スケール小さい上にバカかよ。
「結局・・・私達が後押ししようとも・・・」
「そう・・・全てはあの小さすぎる少女の両肩に全てがかかっている・・・
・・・酷いが・・・彼女にこの国を守る気持ちがあるのは確かだ。
俺達の誰よりも強い・・・・・・だから、仕方が無いのかもな。」
「・・・・・・だな・・・・・・」
・・・・・・・・・。
「・・・って・・・アンタさ・・・適当に相づち打てばいいって考えてない?」
「い・・・いや、そんなコトないっての!ねぇ、メノウさん。」
「わ・・・私に聞かれましても。」
「・・・アホ決定だな・・・」
「アホはまだ可愛げあるよ。バカだから、コレ。」
「・・・なんか・・・もう俺、イヤになって来たな・・・」