ACT.38 抗争/声
「・・・話をしていても仕方ない・・・俺はコーデリア姫の警護に行く。」
「おい・・・こんな真っ只中じゃ、オメー捕まって尋問がオチだぜ・・・?
俺達だって場違いなのに・・・・・・」
「俺の心配より司書の心配をしておけ・・・」
「「え・・・・・・・・・?」」
「・・・大抵の話は既に聞いている。イムラが機密レベルの書類を持っていた事。
それは本物だろう・・・そんな物を持ち出せるとしたら、
『どこかの誰か』しか居ないからな・・・・・・」
「・・・誰なのか・・・ご存知ですのね・・・」
「・・・・・・その誰かは覚悟の上でやっているのだろうが・・・危険だ。
絶対に(2人から)離れん事だな・・・特に、今の貴女は。」
「そうですわね。」
(・・・?)
どういう意味だろう・・・
リカードの話の時もよく分からないニュアンスの言葉があった。
(メノウさんには何かがある・・・のかしら。分かんないなぁ・・・もう。)
タンッ!
「・・・大丈夫かよ・・・・・・」
「・・・あの人、ソーライトのお姫様の近衛だったんでしょ?
人を守る事に関してはソウジさんより凄いんじゃない・・・?」
「そりゃそーだけどよぉ・・・」
「ま・・・ハッキリしてるのはアンタよりは相当強いって事ね。どっちも。」
「先輩は認めっけど、ロックハートの野郎には未だ負けちゃいねぇ。」
というか、負けたくないだけ。
「そうなんですか?」
「一応の話ですよ、一応の。」
「一応ぢゃねぇよ!」
数分後
「ソウジ様が近衛になって下さるなんて大感激だョ。」
「はぁ・・・まぁ、近衛といっても、総隊長に特別、許可を得た程度ですから・・・」
「それから、姫・・・余りおはしゃぎにならない様に・・・」
「分かってるョ。私のしなきゃいけない事くらい。色々考え事するから、静かにしてね。」
((あなたが一番喋っていると思うんですが?))
コンコン・・・
「――――――。誰・・・?」
リカードがコーデリアの前に出て構えるが、ソウジが静止する。
「・・・L(ロックハート)・・・だね。入って構わないよ。いいですね、姫。」
「うん。ちゃんとお話して無いし。」
ギッ・・・
「・・・数日振りだね。」
「・・・言っておくが、俺のイニシャルはLではなくRで始まる。Rockheartだ。」
「あ、あぁ。Lockheartの方が多いから、ついね。」
どうも名前にこだわりがあるらしい。
ロックハートという名を偽名にしないのもそれがあるのかもしれない。
「まぁいい・・・だが、流石だな・・・シルフィードの魔力でも読んだか?」
「いや・・・単なる直感だ・・・大体、今は魔力を全く出していないだろう?」
直感で分かるんかい。
「あぁ・・・姫に悪影響を及ばせる可能性もあるからな・・・・・・」
(・・・?どういう意味だ・・・
“アイツ”から一度だけ話は聞いているが・・・まさか、それと・・・)
少しばかり考え込むが、リカードにそれ以上の事は分からない。
「・・・それで・・・“お話して無いし”と仰ったが、
俺に何か聞きたいことでも?コーデリア姫。」
「うん。ソーライトのこと、聞きたいなァって。」
「・・・・・・申し訳ないが・・・あの国の話は今したくないのです。」
「そ・・・そだよね。やっぱり、辛いからね・・・
えっと、じゃあね。ソウジ様は神刀流だけど、あなたはドコの流派なの?」
「―――――――――。」
凄く速い剣なんだね。ドコの流派なの・・・?神刀流かなぁ・・・
「・・・ロックハート・・・?どうした・・・?」
珍しく・・・と言えるような付き合いでは無いが呆けている。
「あ・・・いや、少しな・・・
・・・俺はどの流派に属した事もありません。
剣術道場で基本動作を学んだ後は全て独学で修めています・・・」
「すっごぉい!自分流でデーモンバスター(対魔族専任剣士隊)になるなんて、
普通出来ないって聞いてるョ!?それに近衛になるなんてもっと凄いョ。」
(姫・・・微妙に彼に移行してませんか・・・?)
(浮気性なんですね・・・もっと私がしっかりしなければ。教育係も兼ねていますので。)
(ハハ・・・)
「・・・近衛に成れたのはほんの偶然ですよ・・・
しかし・・・同じ質問をされるとは思わなかった・・・」
「「?」」
例え・・・例え無理でも・・・・・・・・・私は・・・・・・あなたと・・・
「・・・――――――。(必ず・・・捜し出す・・・待っていてくれ。)」