ACT.39 抗争/素直な想い
決定から3日後 7月18日 会見当日
(・・・姫の後ろ手にリカード・・・カメラ側にイムラ・・・
姫の右手に総隊長ら国王派騎兵隊・・・か。配置はこの程度しか無理だろう・・・)
ロックハートが居るのは数少ない天井裏。
(下手に“背景”を映して姫が『動かされている』と思われたら仕舞いだ・・・)
カメラを始め電気的製品と言えるものは魔力の結晶を動力としたモノで動いている。
もしかしたら、これらを利用されるかもしれない―――・・・
(・・・この中に・・・居ると言う事は無いのだろうか・・・
・・・結局、この数日間・・・何の行動も見受けられなかった・・・
話に聞く程の低俗な男ならば・・・ここを逃す手は無いぞ・・・)
すとん。
「うー・・・・・・」
「姫・・・深呼吸して下さい。落ち着きますよ。」
「さ・・・さっきやったよォ。」
緊張しまくり。
「御身が小さいと何かと困りますなァ。コーデリア姫。おはようございます。」
「!」
ラゥム・・・!
「・・・フン!大人気無いコト言う様な人は王様にはなれないんだョ!」
「・・・・・・ハッハッハ・・・私の兄譲りだな・・・そう言う所は。
しかし・・・もう一度考え直しては如何かな?よぅく考えれば」
バッ!
「ラゥム様・・・余りに口が過ぎるのではありませんか・・・!?」
「・・・近衛如きが口を挟むな・・・」
「リカードは『如き』なんかじゃないョ!
この国で一番強くて優しいお姉ちゃんなんだから!」
「・・・姫・・・・・・」
「・・・ハッハッハ・・・そうかそうか・・・これは再び失礼な事を言った。」
「ラゥム様。先ずはアナタからの様ですよ。」
「フム・・・準備は出来たか、シン。」
「はい・・・滞りなく・・・」
(・・・僕の眼はごまかさせはしないぞ・・・何かをするのなら確実に仕留める。)
「・・・・・・」
シンがソウジの方を見る・・・
「・・・・・・(フフ・・・僕は何もする気はありませんよ。)」
「うへー・・・この野郎・・・語りやがるぜ・・・」
「語り方が凄いよ・・・何か圧倒されるっていうか・・・」
「『なんとなく・・・』と思う、無関心な人の大半は彼に入れるでしょう・・・
しかし、許せませんわ・・・こんな心にも無い様な事を平気で公言するなんて・・・」
「最悪な奴ッスね・・・でも・・・・・・やっぱ不安ッス・・・」
「うん・・・やっぱり、姫が出て来る事をどう思うかが鍵だよね。」
“次は故ファッシュ・ライ・ローテルダム様の御息女・・・
コーデリア・ウィル・ローテルダム姫の演説です。”
「おっ・・・始まるぜ・・・」
「頑張って・・・コーデリア姫・・・」
会見場
「・・・・・・えと・・・」
(姫・・・落ち着いて下さい。あなたの思う様に伝えればいいんですよ。)
軽く微笑んで見せる。
「(ソウジ様・・・・・・)私は、コーデリア・ウィル・ローテルダムです。
私は・・・女王様になるのは凄く不安でまだまだ・・・自信が無いけれど、
1つだけ・・・胸を張って言えることがあります。」
一時・・・静まる・・・
「私は・・・・・・」
いいか、コーデリア。難しい話だけど良く聞きなさい。
「・・・私は・・・・・・」
(姫・・・・・・)
国王とはね、決して“誰よりも”偉い存在というわけじゃない。
でも、王様だョ?何でも好きなコトが出来るんじゃ
違う・・・国王は国の為に全てを賭けて生きなければならないんだよ。
とても大変な事だけれど、国の人達を1人ずつ、好きになっていけば必ず出来る。
みんなを好きになるの?出来ないよォ・・・
今はね・・・でもいつか、コーデリアにも分かる事だよ。
いつか、コーデリアが大変な事になった時、この心があれば、その先に進める。
「私は・・・この国とみんなが大好きなです・・・それだけです。
私は・・・お父様やお爺様と同じ様にみんなと一緒にこの国を守って行きたい。
頼りないかもしれないけど、1日1日を大切にして頑張っていきます。」
(頑張っていく・・・ですか。
正直、心苦しいですが・・・タイムリミットです。明るみにする為には・・・ね。)
「・・・(シンが居ない・・・・・・まさか・・・――――――!)」
「よ・・・よろしくお願いしま」
カァッッ―――――――――!!!