ACT.43 抗争/最低


「ちょ・・・ちょっと・・・!?」

ザッッ!!

「黙ってろ、リノン・・・この野郎は思い上がりすぎだ・・・
 “今まですげぇ道を歩んできたから自分は正しいんだ”・・・ってな。」

「・・・その程度の考えしか出せんのはやはり、その程度というコトだ。」

互いの刻印の魔力が急上昇する。

「ちょ・・・ちょっと待ってョ・・・!
 コーディにはリカがいるし、みんなで一緒に行けばいい」

「・・・そんな事くらい承知・・・ただ、俺は“一般人”を巻き込みたくないだけだ。」

「・・・・・・テメェ・・・そー言う事かよ・・・」

ギッ・・・!

「俺たちはテメェに守られてたって事か。」

「・・・それは少し違うな。お前たちには戦う力があったから、協力しているだけだ。」

「どっちでも同じだよ・・・テメェは俺達を下に見てたんだよな。」

右手に力が溜まっていく。紅く発光する。

「!・・・・・・やはり危険だ。消えてもらう。」


バ・・・・・・サァッッッ!!!


「「「―――――――――!!!」」」

「風の・・・翼・・・!?」


「・・・斬り刻む。貴様の中の龍を。」

更に羽根が増えて行き、天に近付く。

「龍を殺せば6つある刻印のうち、危険な力は2つに減る。
 そうなればプリンセスの命の危険も減る。」

風の翼が時間の経過と共に更に強大になってゆく。

「障壁となっている物が眼の前にありながら潰さない方がどうかしていた。
 俺の判断ミスだ・・・早々に殺っておけばよかった。」

「・・・勝手な事ばっか言いやがって・・・テメェが俺の力を潰すって言うんなら!!」


ボウッッ!


「テメェの刻印を俺が潰してやる!俺は守る為にこの力を使うんだ。
 テメェが殺しに来るんなら、俺は俺を守る為にテメェを倒す!!!」

「・・・・・・酷い論理だな・・・まぁ、いい。痛みは一瞬。直ぐに忘れ」



パァンッッ!!



「―――――――――ッ!?」

いつの間にかロックハートの眼前にリノンが居た―――そして平手打ち・・・

「リ・・・リノン・・・・・・?」


パシィッッ!!


「――――――っ!!」

「・・・2人ともバカよ・・・こんな所でそんな意地張って・・・
 今こんな事してる間にもロックハート君・・・!
 あなたが言う様な事になるかもしれないのよ・・・?
 キッドも・・・ロックハート君が本気であんな風に考えてるとでも思ってる?
 どうしても同じ事を繰り返したくないから、心を鬼にしてるって分からないの!?」

(リノンさん・・・・・・)

「「・・・・・・・・・・・・。」」

「2人とも・・・剣士以前に、男として最低よ・・・!」

「・・・・・・・・・・・・フン・・・」

ザッ・・・

「・・・・・・君に免じて今日は譲ってやる。助けに行く。」

「・・・素直に言いやがれ・・・キザ野郎。」

「だーかーらー!」



同刻 ローテルダム城

「さて・・・一体どうするのだ?クライセント君・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・?何かモノ言いたげだね・・・」

「・・・・・・明日、この事件に関して会議を開きたいと思います。
 あなた方にも当然、出席して頂きたい。」

「・・・・・・いいだろう・・・・・・」

ラゥムが席を立ち、シンが追随する。

「・・・もっとも・・・結論は1つしか出ぬだろうがな・・・」


ギィッ・・・   バタンッ!


「た・・・隊長・・・」

「・・・・・・臆するな・・・そして最後まで諦めるな。
 2人の国王の意志を継いでおられるコーデリア様が居る。今日それが分かっただろう?」

「「ええ。」」

「・・・我々はコーデリア姫を後押しし続ける。最後までな。」