ACT.46 コーデリアの決意


“私は宣言する!この国の平和と栄光を必ずや守り続ける事を!”

「よくもこんな事を言えるわね!もう!」

「・・・・・・・・・それで、イムラ。さっき言った事・・・本気なのか?」

リノンが吠えるがロックハートは演説に興味が無いようだ。
そもそもこんな男の言葉など聞いたところで何の意味も無い。

「・・・姫にも既に言ってある。後は彼女の返事待ちだ・・・」

ザッ。

「謁見の嘆願書・・・隊内の天真の者を選び送りました。」

「ありがとうございます、リカードさん。」

「で、でも・・・本気で・・・・・・」

リノンが喋ろうとしたが周りの様子を気にする。

「大丈夫・・・メノウの家の周辺は全て固めていますよ。
 姫がここに居る事はバレていても、連中に会話内容が漏れる可能性はありません。」

「えっとじゃぁ・・・・・・本気で・・・ユーリケイル共和国に・・・」

「・・・・・・単に姫の女王襲名を目的としているだけではないんだ、リノンさん。
 ・・・恐らく、ヒルダンテスも狙っているであろう最悪のエピソードが1つ・・・
 それを回避する為にはやはりそうするしかないんですよ・・・」

「・・・でも・・・救援の相手が・・・」



同刻
「うーん・・・・・・」

「あ、あのさ、姫。すっげぇ迷うのは分かるけど、嫌なら嫌って言えば良い訳だし。」

キッドが説得中。

「あの人に国王になんかなられたくないョ!で、でも・・・」

「そ・・・そうッスよねぇ・・・この前もあからさまに嫌って言ってたし・・・」

「ソウジ様の考えは凄く理解出来るけど、
 ユーリケイルのヴィンセントに会わなきゃならないのは納得出来ないョ!」

ユーリケイルの王子、ヴィンセント・ウィルスタイン。
温和な性格でユーリケイル国内外での人気は非常に高い。

「勘違いされちゃうョ!?色んな意味で!」

色んな意味で必死。

「そりゃ、俺も納得ッス。」

「っていうか、どうしてあんな頼りにならない男が私の許婚なの!?
 お父様も信じられない事をしちゃうんだから!もうヤダヤダぁっ!」

「ハ・・・ハハ・・・」

「笑い事じゃ無いョ!私の相手はソウジ様なの!」

「つーか、今回は救援要請が目的な訳だから、さ。それは気にしなくてもいいんじゃ?」




再び。

「・・・何も婚姻だとかを目的とはしていない・・・
 もっとも、国民はどう見るかは分からないが・・・
 けれど、僕が考えた最善の方法はユーリケイルに助けを求めるしかない。
 姫もそのつもりだが、向こうに居る相手が相手だけに中々・・・」

「・・・ともかく・・・・・・俺は賛成だ。それに俺が居れば事はうまく行く。」

「おい・・・武力行使なんて」

「アホが・・・・・・今に分かる。向こうに着けばな・・・
 もっとも・・・まさかこんな事になるとは思わんかったが。」

(何だろ・・・この人色々有りすぎっぽい。)

(出身国・・・かもしれませんわね。もしくは伝手があるのかも。
 ユーリケイルは遺伝的に緑色の髪と眼の両方を持った人が通常より多いらしいですし。)


がちゃ・・・


「「「姫・・・・・・」」」

「決めたョ。ユーリケイルに行って今回のこと、全部話す。」

「姫・・・!」

「話して、この国が間違いを起こす前に何とかしたいから・・・
 でも・・・戦争になるかもしれないと思うと・・・辛くて・・・」

「そーならねぇ様に周りで頑張るのが俺達ッスよ。
 それにあのオッサンを不審に思ってる人だってたくさん居るハズ。」

「・・・・・・確かにな・・・」

無論の話だ。

「そういった気持ちを広めて、国の人の気持ちを正しい方向に動かせば・・・
 もしかしたら、血が流れないで終わらせる事が出来るかもしれない。
 だから、みんな・・・このコーデリア・ウィル・ローテルダムを助けて下さい!」

「「了解!」」「承知。」




同刻 アルファン

「・・・おいおい・・・マジかよ・・・」

「昨日、メチャクチャになったと思ったら・・・姫が降りて、この人が国王に?」

「・・・・・・怪しさ100%だね・・・」

「「え・・・・・・?」」

「・・・どうやら、僕の運命はそろそろ大きく動き出しそうだよ。」

金色の髪を靡かせてみるが、コレは癖である。
自分がそれをやっている事自体が無意識―――つまり、正真正銘のナルシスト。

「また得意の予感か?」

「ってか、クロード・・・お前、そんなに派手に喋んなきゃダメか?」

「フ・・・言葉とは重ねることで意味が増すんだよ。
 ここは・・・・・・確証に変えておこうか。」

「「あ、そう・・・」」