ACT.52 脱出/天誅!


キッドVSチュージ

『あっちゃー・・・もう2人、やられちまったのかぁ。
 まぁいいや。こんな奴、俺なら確実に仕留め』

「おいコラガキ・・・てめぇ、あんま嘗めた事言うんじゃねぇぞ・・・」

『・・・ガキ・・・?そりゃ、そっちだろー?俺ぁ、もう19だぜ?』

「「「んなっっ!?」」」 「せ、先輩より年上!?」 「私と同い年ですの!?」

色んな意味でショックです。
あとメノウはメノウで19には見えないですけども。

『んだよぉ!!テメーら!!ブッ飛ばす!』


ギュオッッ!!


「――――――!!」

『劉仙流柔術!!』

間合いを詰められ、刀を抜くタイミングを失う。

「んなっっ!!」

「(あの型は・・・!)
 キッド!!その柔術は危険だ!!何としても離れろ!」

『へぇ・・・あっちの奴(ロックハート)はほんとによく知ってるなァ。
 けど、このバカじゃ無理だな。』

「ぐっっ!!!」

『逃がしはしないって。咬劉(コウリュウ)!』


ガシィッッ!!!


「ッッァアッッ!!
 (何て力してやがんだ・・・!!痛ぇツボを思いっきりやりやがって・・・!)」

『史上最強の柔術、劉仙流の最初の“劉”に咬まれたら最後・・・お前は死ぬよ。』

「うおっっ!?(この体格差で・・・幾ら柔術つっても・・・!?)」

引きずり込まれる・・・!

『巻劉(カンリュウ!!)』

キッドの身体がチュージを中心に反時計回りに半回転する。

『同時に葬りゅ』



「おらああああっっっ!!!」



『なぁっ!?(返し技!?マジで!?)』

ドバンッッ!!!

『がふっ・・・!
 (振り回した時に鞘を地面に押し立てて、自分を中心にして逆に俺を・・・!?)』

「肘打ち落としッ!!」

『うわっっ!!(顔面に倒れ込み肘打ち!?)』

ガシッッ!!

「――――――ッ!」

逆転の一撃を受け止められる。
それもこの小さな身体からは考えられないような凄まじい力で・・・

『ちょーっと、ビビッたけど・・・
 関節曲げて俺に渡してくれるなんて、サービスいいじゃん?』

メキィッッ!!

「うあっっ!イテェっ!このガキッ!!」

『ってぇっ!!ガキはそっちだろーが!!バカヤロウ!』

チュージの右ストレートを避け、カウンターで同じく右を放つが同じくかわされる。

「キレた・・・火炎拳ッ!!」

『な・・・何だよ・・・その魔力・・・ッ!!』

(・・・使い方が次第に分かってきているな。魔力の調節も妥当だ。
 ・・・だが・・・・・・俺は・・・やはり殺さねばならない。)

「勝負はビビッた方が負けなんだよ!天誅!」


バギッッッ!!!


『っっああっ!!痛ェ!!つーか、熱い!!』

「炎だから、熱くて当然だろ!(こいつ・・・!魔力を放出して壁を作りやがった!)」

その為に打撲と火傷以下の軽傷で済んだ。

『くそっ、ブッ殺』

『ま・・・その程度にしておきなよ。
 異常なほどの魔力を持った奴相手に策無しに戦うのはダメだよ・・・君の負けだ。』

『・・・くそ・・・っ。』




ほぼ同刻 リノンVSヘーハン

『・・・男の方は気に・・・ならないのか・・・?』

「・・・ソウジさんやロックハート君はそんなコトするのが失礼だし、
 それに、あぁ見えてもあのバカも結構強いから。心配する必要ないわ。」

『・・・そうか・・・・・・ならば・・・・・・・・・・・・』

「―――!(詠唱が速い・・・!)」

バシィッッ!!

『・・・結界魔法・・・・・・か。』

「・・・・・・・・・(発動もそうだけど、術自体の速度も速い・・・!)」

『・・・・・・指令なら私は女であっても、幾らでも殺せる。
 クックック・・・状況に合わせて、それなりの殺し方が出来るのでな。
 私は殺しの中に愉しみは見出せる・・・オマエにも少し、見出せそうだ。』

「・・・(こいつ・・・かなり壊れてる・・・リノンちゃん困っちゃったかも。)」