ACT.55 最強の女剣士


「って・・・何でオメー、急に変装してんだよ・・・」

「・・・・・・アホが・・・非領有地帯だったから、素の姿で居ただけだ。
 ここは俺の敵地と変わりは無い・・・・・・
 長時間の変装具の着用は逆に正体をバラしかねんしな・・・」

「(・・・正体・・・)着いたよ。ここだ。」


ザッ・・・!


「・・・少し大きいけど外見は普通・・・のお宅ですね。」

「ちょっとガッカリかもー。」

身も蓋もねぇな。

「な、何を期待してるんですか?二人とも。」

「おや・・・・・・?」

少しかすれた声が聞こえる。

「もう来たんだねぇ、ソウジ。」

(雰囲気似てるし・・・親戚のオバサン辺りかな・・・?)

(結構、若めなのに年食った喋り方だな・・・誰かと同じで・・・)

(・・・・・・誰が年を食ってる・・・アホが・・・)

とりあえず、親戚であるのは確かなのは良く分かる。

「2年ぶりだね、おばあちゃん。」



「「「えぇええええぇええッッ!!?」」」


「バ・・・バカな・・・有り得ん・・・」

叫ぶ面々。特に驚きすぎなのはロックハート。

(初めてお会いしたら、普通は驚きますわね。)

「その子達が、手紙に書いてあった子らかい?」

「そうだよ・・・って・・・・・・みんな、どうした?」

「「い・・・いえ・・・・・・」」

「あ・・・ありえないョ・・・」


間。 λ...コソーリ


「自己紹介してもらったことだし、アタシの方もね。
 アタシは“ミサト・イムラ”。神刀流第24代目(先々代)総師範さね。」

「・・・あなたが“桜華のミサト”の異名を持つ最強の女剣士・・・」

「銀髪のボウヤ、若いのによく知ってるねぇ。」

現在、ロックハートは銀髪に変装中。
目立つといえば、目立つが国籍は銀髪の多いソーライト王国の為、問題は無い。

(知らなかった・・・また・・・差が出来ちったよ・・・)

(あんた、剣やってるんだったら知っときなさいよ・・・)

リノンも知らなかった。

「しつもーん。」

「ハイハイ。元気なお姫さまだねぇ。」

「ソウジ様のおばーちゃんって一体、いくつなのー?」

(((ストレートに聞くかー!?)))

「歳かい?あー・・・65だったかね。」

(((年よか見た目若すぎーーーッ!!)))

(・・・のクセに婆さんくさいのは何でだ・・・)

ヒント:仕様。

「それで、天真のボウヤ達には聞いているけど、本当なのかい?」

「紛れも無い事実だよ。ここに居るみんなが居なければ、姫は危なかった。
 おばあちゃんには迷惑をかけるかもしれないけど、暫くは姫を・・・」

「平気さね。もし、城の方がバカなこと言ってきたらアタシに言えば一発だよ。
 ライト(ユーリケイル共和国国王)はアタシの弟子だからね。」

(・・・先輩といい・・・)

(この人といい・・・)

(・・・スマン・・・俺も付いて行けん・・・)

俺はお前についてけへんけどな。

「疲れただろう?今日は精を出してご馳走作ってあげるからね。」

「ヤターッ!」

(ご馳走で喜ぶ姫様って・・・)

(つーか、俺達、さっきからツッコミばっかりだよな・・・)




ほぼ同刻 ローテルダム城
『さぁーてと・・・どう報告しようかなぁ。フフ・・・』

閃迅組の為に新たに作られた隊室でシンがいつもの笑みを浮かべる。

『どうってたって、一発でやられちゃったアタシにはどうも言えないしー。』

『・・・この後、どうされる?』

『そうだね・・・とりあえず、危害が及びそうになったら、君達には逃げてもらうさ。
 責めを追うのは僕だけで十分だし・・・僕だけなら、確実にかわせるから。』

『我々はあなたの意思の元に戦うのですぞ。』

『そーだぜ?命令下すのは国王でも、俺らの頭はアンタなんだから。
 もっとも、ヘーハンの奴はどーだかしらねーけどさ。』

その姿だけはここには居ない。

『ありがとう・・・・・・』


ザッ


『・・・いよいよ始まるよ。本当に死ぬかもしれないのはここからだ。』