ACT.62 修行/魔力謁見


「さて、まずはボウヤ達の方からにしようかね。
 さっきトンガリ頭のボウヤが言ってたようにアタシは
 聖剣伝説とそれにまつわる『印』の話はある程度は知ってるからね。
 とは言っても、聞いただけだからね・・・
 2人とも右手に抱える程度のそれぞれの属性魔力を出してみな。」

「・・・・・・。」


ギュオッッ・・・・・・!!


「すごーい。
 風が綺麗に球体になってる。それに比べて・・・」

「うわああっ!
 ちょっ、このバカ龍!戦闘じゃねぇっての!暴れるなって!」

暴れ狂っている。

「なるほど、話に聞いた通り龍の方は気性が荒々しいねぇ。
 それに反して風の精霊は静かながら強い力を秘めているね。」

「・・・ふぅ・・・何とか納めきれたな・・・」

確かに何とか、と言う具合に右手に炎が集められている。

「・・・・・・もう弱点は分かったさね。」

「「マジで!?」」

「・・・緑髪のボウヤからアタシに一撃、本気で撃ってみな。」

右手を握り締める。

「・・・・・・死ぬぞ・・・
 常人より上程度のあなたの魔力では到底無理だ。」

「御託はいいさね。撃ってみなと言ってるんだ。」

「・・・・・・・・・(速さは見せてもらった。)」


ゴォッッッッ!!!!


「うおっっ!?」

「魔力がどんどん上昇してる・・・!」

「・・・風刃・・・デスサイズ。」

右手からロープ状に風の魔力が伸び、その先に風の鎌が生まれる。

「・・・・・・・・・ハッ!!!」

「なるほど・・・
 ボウヤは風の特性の1つは分かってるようだね。」

杖を構える。

「けどねぇ・・・」


シ・・・・・・    パァンッッ!!


「!(鎌より低魔力で・・・しかも杖で斬っただと・・・!?)」

「この魔力・・・少し使わせてもらうよ。」

杖に散らばった風が再び集まり、野球ボール大になる。

「それじゃ・・・お返しするとするかね。」

「―――――――――!!」


                   ゴギッッッ!!


「かはっ・・・・・・!!(バカな・・・ッ!)」

「ん・・・なぁっ!?」

「刻印の特殊な魔力を・・・!?」

「(なるほど・・・この2人も分かってないようだねぇ・・・)
 次はボウヤ・・・撃ってみな。」

「う・・・うッス!
 (おいおい・・・マジかよ。守護の刻印だとか言ってたけどよ・・・
 あんな魔力を簡単に跳ね除ける人相手に火龍の力が通じるのか?)」

「ほら、さっさとやりな。」

「(いや・・・逆じゃねェか・・・?押さえないと・・・)
 行くぜぇッ!!火炎弾ッ!!」


ドッッ!!!


「・・・(なるほどねぇ・・・どっちも教え甲斐があるってもんさね・・・)」

杖を地面に突き刺す。

「神刀流・・・神羅無刃滅。」

(これは・・・杖の周りを魔力が渦巻いてる!)


パァンッッッ!!


「おいー・・・マジかよー・・・・・・」

風の時とは違い、炎は完全に分解された。

「・・・どっちもザコ相手なら申し分は無いね。
 ただ、緑髪のボウヤは元々“ゼロ”だったんだろう?」

「・・・・・・そうだが・・・」

「例の事件でってことは、半年。たった半年じゃ魔力を扱いきれなくて当然さね。
 つまりボウヤは魔力を扱う事になれておらず練り切れていないのさ。」

(・・・・・・・・・。)

「そして、トンガリ頭のボウヤは・・・
 魔力の扱いは出来ているけれども、火龍の力に振り回されているねぇ。
 アタシが打ち破れたのは、アンタが無理に力を抑えて撃ったからさね。
 余りにも強力な魔力だから、体が自制をかけて撃ったんだけどね。そうだろう?」

「まぁ・・・無意識だけど・・・かなりヤバそうだったから・・・・・・」

「・・・まぁ、どっちにしても2人の魔力で生成したモノは
 スポンジみたいにスカスカで見栄えだけいいだけなのさ・・・
 そのスポンジを鉄球にする修行をやるよ。2人ともそっちに行きな。」

ザッ・・・

「あんた達には・・・・・・」

「詠唱・・・?」

何かを唱えようとしている。

「この空間の中で5時間耐えてもらうとしようかね。」