ACT.67 精霊
「裏切り・・・?仲間だったんだろ?」
「・・・集団になればそれだけ思想の違いが明白になる。
例え、当初の最終目標が3つの存在を消す事であってもだ。」
「キッドとロックハートの考え方の違いがそれだ。
無論、僕にも他のみんなにもそれぞれ少しずつ違う考えがある。」
「まぁ・・・そりゃそーだろうけど。」
「・・・一人目の裏切り・・・」
と言うよりも、それは半ば意志とは違う。
狡猾の名を司っていた雷の獅子・・・
ある1人が、その獅子に人間ならば必ず持ちえる心の闇を見透かされた。
その勇士は心の光と闇の間で葛藤し・・・負けた。自らの生を、自らの生のみを選んだ。
雷の獅子の力を身体に宿し、雷の獅子の意思通りに殺し続ける代わりに、
超越した存在として生きる事を選んだ。
「それが、元々の刻印の始まりだ。」
「「「―――――――――。」」」
裏切りが始まれば、それは立て続くもの・・・
違う行動をしているものを見れば、それが魅力的に思えば尚一層・・・
そうして、破壊の名を司る大海蛇も人間の身体を手に入れ、
その元となった勇士と共に破壊の限りを尽くした。
「・・・ちょっと待って。」
「何だ・・・質問は後にしろと」
「お願い。1つだけだから。3つの力って魔物よね?
魔物が精神体みたいになって人間の中に入るなんて、出来ないわ。」
「・・・俺が何時、刻印に宿る力を魔物と言った?」
「「「え・・・・・・・・・?」」」
「ドラゴン、カンナカムイ、リヴァイアサンは、シルフィードと同じ精霊。
いや、6つの刻印に宿る全ての力はそれぞれの属性を司る大精霊。」
「なっ・・・」
大きな勘違いをしていたと、メンバーは気付く。
「世界を構成してて、絶対に欠かせない精霊の事だよね?ね?」
「その通りですわ。しかし・・・その2つの精霊がどうして・・・」
「・・・精霊にも心はある。故に必然的に光と闇が生まれる・・・
そう考えれば、最初は驚くだろうが幾らでも納得は出来る。
世界を構成する事に飽きたんだ・・・雷の獅子と大海蛇はな。話を少し戻すぞ。」
残された4人の勇士は狼狽えた。
かつての仲間のその兇行と変貌、その凶悪な意思に。
人間でありながら、世界を構成するそれぞれの力を持つその姿に。
そして彼らは考えた。
対抗するには同等の力を持つ協力者である3つの精霊の力を得なければならないと。
それは精霊達も同じだった。彼ら精霊の後継者は一応はいる。
それは先の3体の同属性の精霊達にも言えていた。
自分達が相手が死んだとしてもこの世界が崩壊する事は無い。
彼らは3人の中にそれぞれその力を携えた。
そして、問題の火龍・・・
不思議な事に力を貸すと言ってきた。
「は・・・はぁ?」
「それがこの戦いの最大の謎だ。
最も多く殺し、最も怖れられたその力が何故・・・」
「一体・・・何を考えて・・・・・・」
「だが、彼らは迷ってはいられなかった。
龍の言葉を信じ、最後の1人が力を得た。
そうして幕を開いたのが世界を構成する力を使いし・・・究極の領域の戦いだ。」
「―――――――――。」