ACT.69 目的


「まず1つ目!根本的な話・・・なんで、復活してんだよ。」

それもそうだ。

「・・・シルフィード。知ってたら教えてやれ。」

「何だ・・・オメーも知らねぇのかよ。」

「教えてもらっといて、それはないでしょーに。」

「キッド様・・・
 最近、すっごく小さいョ。人間が。」

「・・・・・・うっせーよ。」

「で・・・どうなんだ?」

右手を握り締め、風の精霊を呼び出す。

“・・・私に関して言えば、
 ロックハートの『守りたい』と思う気持ちに喚び出された。
 今までに20数人の人に力を貸した。”

「・・・。」

“多分、他の彼らも同じだと思う。
 彼らの意思と人間の意志が同調すれば、力を貸し与える・・・
 それは、私の場合、その人の悲痛な願いを叶える為であり、
 そして雷と水、考えの見えない炎を人間界で監査する為・・・”

「・・・ちょっと待てよ・・・
 俺だって、町のみんなを助けたい!って思ったら、この龍が出て来たんだぜ・・・?
 って事は、コイツは人助けがしたいのかよ。
 つっても、最初にムカつく事ばっかり言われたけどな。」

“・・・私からドラゴンに呼びかけても返事は無い・・・
 私の声は聞こえているけど無視している。
 だから、理由は分からない。”

「と言う事は、今は考えるだけ無駄と言う事か。
 本人に聞くしかないみたいだ。」

「・・・そうッスね。
 (どうすれば、コイツの考えている事が分かるんだろう・・・)」

ばっ。

「コーディからしつもーん!
 もしかしてー、あの怖い人が石の持ち主のプリンセスを集めようとしているのって、
 伝説の剣を手に入れるためだったり?」

「それ、俺が言おうとしたのに・・・先取られた・・・」

ホントに言おうとしてたのか?

「恐らく、そうだと思いますわ・・・」

「いや、僕はそれともう一つ意味があると思う。」

「・・・・・・お前もそう思うか。」

手に入れようとするのは恐らくは間違いは無い。
だが、もう1つ有るとすれば・・・

「ああ・・・奴の最終目的が何なのかは未だはっきりしないが、
 オリハルコンの剣で封印したのなら、その剣で解除も可能と考える事が出来る。
 そもそも、オリハルコンの持つ特性事態が魔力を消すのではなく、
 魔力をその鉱石内に保管するものだとしたら、
 精霊の力が凝縮されたオリハルコンの欠片でも十分すぎる程だろう。
 集めた石を使う理由はその『封印解除の鍵を手に入れる為』・・・そして・・・」

「封印された精霊を完全に復活させる為・・・ですわね?」

「でも・・・敵対する力があるのに、何の得が・・・
 それとも利用出来る何かがあるのかな・・・」

「じゃなきゃ、他の精霊を復活させるなんてする訳ねーよな・・・
 って・・・おい・・・・・・あの野郎・・・」

「・・・ああ。全ての刻印・・・
 つまり、精霊の力を手に入れようとしているのかもしれない。
 それは俺達の力も確実に自分の物に出来る何らかの方法があった上でだ・・・」

ザッ。

「そう考えれば・・・手に入れる直前まで、余計な邪魔が入らない様に
 自分の敵に成り得る国家をことごとく潰してきた意味が通る。
 魔界にとって人間は最高の獲物であると同時に最大の敵だからな・・・
 徐々に様々な方法を使い、人間界を崩壊させる・・・そうして、確実に手に入れる気だ。
 その求めている何かをも・・・・・・・・・」

「ローテルダムの今回の件も、
 各国の原因不明な紛争も・・・そして・・・」

ロックハートを見やる。

「・・・ソーライトもだ。
 出来れば、あらゆる国家に事のあらましを伝えたかった。
 だがそれは逆に国民の不安を仰ぎ、それこそ思う壺になる・・・
 故に俺は、彼女を探しつつ出来うる限りの手を尽くして奴らに抗ってきた・・・
 だが殆ど無意味に終わったがな・・・・・・・・・」

「無意味じゃねーだろ、バーカ。」

「・・・何・・・?」

「信念持ってやってきた事に意味のねぇ事なんてねぇんだよ。
 結果がどうだったなんて事よりも、
 大切なのはやったかやってないか、だと思うぜ?」

(・・・たまにそれなりにいい事言うんだから。)

「フン・・・お前に擁護されるとはな。
 俺も相当に落ちたようだな・・・
 もっとも、お前は更に遥か下だろうが。」

「んだと?!」

(・・・なんていうか・・・)

(この2人の意見が完全に一致する事ってなさそうですわね・・・)