ACT.8 ソウジと姫君
城下町
「ちょっと、先輩!」
「・・・なんだ・・・?」
不機嫌という訳では無いが、反応が悪い。
「(入隊の話は無しにして・・・)何であんな嘘ついたんですか?」
「・・・嘘・・・?」
「だって、あの紅い光はキッドの右手の・・・」
「・・・総隊長は信頼できる人だが、軍の人間には変わりない。
どんなにあの人が足掻(あが)こうと、そこからは抜け出せはしない・・・
つまりだ・・・強い力があれば、さっき僕に言ったように入隊を希望するだろう。
彼なら、断ればそこで仕舞いだが・・・総隊長の座を狙っている連中が、
その事を聞きつけば、大事になるからな・・・」
「・・・軍事転用・・・とか・・・ですか?」
ありえる事だ。
「・・・そういうコトだよ。
・・・・・・・・・・・・得体の知れない力が自然に意思を持つ事など有り得ない。
・・・何か昔にあったハズだ。それに大いに関わる何かが・・・・・・・・・!」
何かを感じる・・・
「・・・先輩・・・?」
「ソウジさん・・・?」
「・・・この荷物で悪いが、思い切り走るぞ・・・」
妙に焦っている。
「は・・・・・・?何でッスか?」
「逃げるからに決まっているだろう!!!」
ダッッ!!
「訳分からねぇ!!」
「てゆーか、ソウジさん、キャラ変貌!」
「いいから速くこっちだ!!出来るだけ遠くに行くぞ!」
「もしかして、俺のこの手にもう気付いた奴がいるとか!?」
「そんな・・・可愛いもんじゃないさ・・・」
「「へ・・・・・・?」」
ドッッ! たたたたたたたたたたっ!
「ソウジ様ぁあぁあああぁぁぁあああっっっっ!!!」
「な、何だぁ!?」
「女の子・・・?」
が、飛んできた。
「・・・こんなに速く見つかるとは・・・・・・」
ゲシャッ!
「ぬぁっ?!」
「つっかまえたぁ☆」
「「ブフ―――――――――ッッッ!このコって!!!」」
「もう、ソウジ様ぁ!せっかく、お城(うち)まで来たのなら、
コーディにお顔ぐらい見せに来てもいいのにぃ。」
「お願いですから・・・そんなくっつかないで下さい・・・人の眼もありますし・・・」
「気にしない、気にしない☆ 恋愛に年齢も外野も関係ないんだョ。」
「そう言う問題では無くて・・・」
「・・・・・・?こっちの人達は・・・?」
「「・・・・・・・・・ (・Д・;)唖然」」
「ぼ・・・僕の後輩ですよ。キッド君とリノンさんです。」
「・・・・・・先輩・・・『何で居る』んスか・・・?」
「・・・というより・・・・・・どういうコトなんですか・・・?」
「始めまして☆ “コーデリア・ウィル・ローテルダム”だョ。」
「何でお姫様と知り合い!!?」
「つーか、何でそんなに親しげなんスか!?」
「・・・・・・話すとかなり長い。というより、別に親密という訳では・・・」
必死に全面否定。
「照れないでョー、ソウジ様。」
「サ・・・流石はソウジさん・・・」
「一国の姫君をオトすとは・・・」
「オトされちゃった☆」
何そのハイテンション。
「ちょ、姫!勘違いされるような事を!」
激しく必死。
「・・・ヒドイ・・・ソウジ様・・・あの日の事をもう忘れたの・・・!?」
(あー・・・フザケてたけど、)
(そーとー、厄介っぽいね。)
「そう・・・アレは2年前の雪深い日の事・・・」
(おいおい・・・次の話でまるまる1話使うんじゃ・・・)
(・・・何の話してんの・・・?)