ACT.9 姫の忍


再び城内 王女の部屋

「よーするに・・・旅行先から帰って来たときに魔物に襲われて、
 偶然通りかかった先輩に助けてもらって好きになった・・・という訳ッスか。」

「正解☆」

(って・・・二行で説明終了かよ!しかも俺が!)

(だから何の話してんの、アンタ・・・)

「とにかく!」

ソウジが声を上げる。

「助けただけなんだ。別にそれ以上の深い関係は・・・・・・う・・・」

「ヒドイっ・・・・・・ヒドイョ・・・」

本気で泣いているコーデリア姫様。
演技ではなくリアルにだから性質が悪い。

「あんまりすぎるョ・・・っ!」

「ちょ・・・ちょっと・・・姫・・・困りますよ・・・
 実際、僕らはそこまで親しくしている訳でもないんですし、それにですね、」
↑ひっかかるなよ。

「ヒデェ・・・先輩・・・姫だって1人の女の子なんだから、
 もうちょい言い方ってもんがあるっしょ。」  ニヤニヤ

「コーデリア姫は本気なんですよ・・・?それを踏み躙るなんて・・・」  ニヤニヤ

「あのですね・・・姫にはれっきとした御相手がもう決まっていますし・・・」

そんな二人に突っ込む余裕が全くないソウジ。

「相手って・・・ユーリケイル共和国の王子だよな。」

「コーディはヤサい男は嫌いなの。」

てゆーか、ソウジも優男という設定なんですけど・・・

「もし・・・もし、身分なんて気にしてるんだったら・・・」

「いや・・・そう言う問題ではなくてですね・・・」


“姫・・・ソウジ様を困らせてはいけません。”


「「天井から声・・・?」」

ザッ!

「・・・ピアノのレッスンの時間です。ご用意ください。」

黒い髪に黒い服の女が降りてきた。

(アレ・・・誰・・・?ってか・・・何者・・・?)

(忍だよ。彼女は姫専任のくノ一、リカードさん・・・『姫の忍刀』と呼ばれている。)

(また美人が・・・・・・何?今日は私が打ちのめされる日?)

「ソウジ様、キッド様、リノン様。ここより裏へ通じております。
 今、表から帰られると“他の王族”の方々がいい顔をされませんので。」

「(・・・あの派閥か・・・)スミマセン。ご迷惑をかけてしまって。」

(なんか、さっきから儀式的に謝ってんな。)

(すごく可哀想になってきた。)

お前らも多少関係してると思うぞ。

「ソウジ様ぁ・・・」

「姫。ソウジ様はお忙しいのです。」

「・・・・・・分かったょ・・・」

「(・・・流石に可哀想過ぎるか。)また今度、時間を作りましょう。
 リカードさん。姫のお時間がある時に知らせて頂けますか?必ず御会いしましょう。」

「ソウジ様・・・!」


「(・・・申し訳ないです。)分かりました。それではお気をつけてお帰り下さい。」


城下 「やっぱ、先輩はいいトコありまくりッスね。」 「もう、いっその事、お姫様の気持ちに応え・・・」 ぴたぁ・・・ッ 「・・・さっきまではよく、遊んでくれたな・・・二人とも。」 二刀に手をかけている。というか、既に抜きかけている。 「ちょ・・・ちょい・・・マジで冗談ッスから!」 「・・・僕は冗談という名の悪フザケは余り好きじゃなくてな・・・  分かるだろう?そもそも僕は冗談自体、余り好きじゃないんだ。」 チキ・・・っ。 「分かるな?・・・神刀流・・・神羅」 「「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい  ごめんなさい先輩!てゆーか、ホントにバカでした!もうどうしようもないくらい!  もう2度とこんなバカでアホでボケなことはしませんから!!  何卒、どうかお許しを!ホンッと!!ごめんなさい!」」 「・・・・・・冗談に決まっているだろうに。しかし、お前たちは面白いな。  意気がピッタリでいうこと考える事も同じとは・・・  卒業したらさっさとくっついてもいいんじゃないか?」 「「絶対有り得ない!!」ッス!」 「・・・・・・ピッタリじゃないか。」 「「あ・・・・・・」」 ベタ。 「さて・・・調べる事が多いし、僕は帰るとするよ。  二人はゆっくり仲良く、城下で買い物でもして行くといいよ。  ここはデートスポットの1つだし、ちょうど良かったな。ハハハ。」 笑いながら本当に二人を置いてけぼりにしていく。 「・・・ねぇ・・・私、ソウジさんだけは怒らせるのマズいと思うの。」 「・・・俺も同感・・・・・・帰ろうぜ・・・」 「そうね。」 ザァ・・・っ! 『・・・アレが・・・俺と奴の次に現れた所持者か・・・・・・  ・・・一般人に何故・・・あの刻印が・・・・・・調べる必要がありそうだな。』 遥か上空から見つめる瞳――― もうすぐ新たな邂逅が舞い降りる。