ACT.80 大戦/白き閃光


「・・・・・・・・・神刀流、免許皆伝術式・・・奥義。」

突風に似た“それ”――――――!

『きゃっっ!』

「・・・・・・・・・」

『・・・は・・・・・・
 (なんて気迫・・・・・・
 魔力なんか出てないのに、殺気でも無いのにこれほどの・・・)』


ザリ・・・ッ。


『や・・・やるじゃん。
 さっさと来てよ。飽きてきちゃうじゃん。』

「・・・・・・御望み通り・・・・・・」


どっっ・・・
     ・・・・・・バッッッ!!!


『!!・・・なーるっ。
 1、2撃でこれだけアタシの力を読み取ってくれたんだ。』

ソウジの突撃を難なくかわす。しかし、

「神羅刹刺閃!!!」

第二撃?が撃ち込まれる。

『でもね・・・
 そんな布石、このアタシには生温すぎて笑っちゃうよ!』


ガキィィ・・・・・・ンッッッ!!!!


「・・・・・・!!」

『フフッ。
 一撃目は、神羅鏡崩刃と同じで敵にその移動モーションを焼き付けただけ。
 気迫の時に魔力を少し使って、自分に似せた姿を高速で飛ばしてね・・・
 けれど、それは避けられると思っているからこその布石・・・
 第二撃はその避けた先を狙った更なる高速刺突・・・・・・』

「不覚だったな・・・・・・」

『アタシの眼はシンちゃんよりいいよ。残念でーした。』

鍔迫り合いを避け、間合いをもう一度取る。

「未だ甘く見ていたようだ。
 けれど、君にも僕の評価を少しばかり改めてもらいたいな。」

『・・・―――――――――!』

ボロッ・・・・・・

『刃が・・・』

バキバキに崩れている。
これでは最早、片方の刃を使うしかない。

『・・・さっすが大業物と瞬足剣術で成せる技って感じ。』

「・・・まだだよ。」

『・・・・・・―――!まさか・・・!』

「そう・・・・・・」

指を鳴らす。


『――――――薙刀が!』


バキィ・・・・・・ッッ!!


「最初から武器破壊、もしくは腕を動かせなくする事が目的だったんだ。」

『そんな・・・
 二撃目にアタシが受けきる事も予想していた・・・!?』

「いや、君にとってそれは必然事項だった。
 あの体勢では受ける事しか出来なかったんだよ。」

『・・・・・・最低・・・
 ・・・同年代とは思えないね。』

「よく言われるよ。
 じゃ、君には捕虜になってもらうよ。」

『・・・冗談。
 敵に捕まるくらいなら・・・・・・』

「!」


がしッッ!!


『あぐっっ!』

「舌を切ろうとするとはね・・・
 ・・・相当喋りたくない事があるらしい。」

『っ・・・(・・・これでいいよね?)』






同刻
「ロックハート君、下がって!」

「!
 (ちっ、グリップが利かなくなってきた。斬りすぎたか。)」

20分以上1人で戦ってみたが、
数よりも自分の新陳代謝で負けそうになる。もう、頼むしかない。

「すまん。」


ザッ。


『あいつ、下がるぞ!』

「次の相手は私よ。」

『『『?!』』』


彼らからしてみれば、場違いもいいところ―――
学生、しかも少女が一人だけ立っているのだ。だが・・・


「具現魔法・・・・・・」

リノン・ミシュトは単なる学生どまりの魔術士では無い。

「“白き閃光の彼方”、“白夜の如く燃えよ、慈悲の炎”!」

リノンから白光が放たれる。

『『うわっっ?!』』

「スヴァンフヴィード!!」

(・・・2体目の具現魔法・・・白金の女剣士か。)


コォォオオォォオオォォ・・・・・・・・・


『何だよ・・・
 この女・・・こんなもの創りやがって・・・』


“・・・・・・『女』呼ばわり・・・我が主に対する暴言は許さぬ。”


「待って!スヴァン!
 殺すんじゃなくて、倒すの!いい!?」

“・・・・・・主がそう言うのなら、従おう。”

『しゃ・・・喋った?!』

『や・・・ヤベェ・・・・・・』


創られたものが喋る―――
それだけで危険度を察知し、逃げて行くが逃がしはしない。


「放て!慈悲の炎!」

“・・・ミッドナイト・サン!”