ACT.82 大戦/入隊宣言
ほぼ同刻 クライセント側ローテルダム軍
「陣形を整えろ!
この数でも奇襲ならば勝てる!」
『ぐえあっっ!!!』
『この男・・・ッ!!』
「喰らえ、槍天刄!!」
ズ! バンッッッ!!
『『『――――――――――――アアアッッ!!!』』』
魔力を伴った槍の一突きで“消滅”させる。
「・・・これで中隊1つ撃破か。」
「ええ・・・しかし・・・
仲間を念の為にここに向かわせて情報を掴ませていましたが、
まさか本当にトルレイトがラゥム派と組むとは・・・」
「ああ・・・・・・しかし、“彼”は一体何を考えて我々に・・・」
「隊長!」
背後から1人、生き残りが忍び寄る。
『クライセントを殺せば、五階級特進確じ・・・・・・?!』
ブシュッッ・・・・・・!
『え・・・・・・?何だ・・・?』
手に綺麗な華がある―――
「「バ・・・バラ・・・?」」
「手に刺さってやがる・・・」
『ぐおおおおっっ!!』
クライセントを襲った生き残りの兵士が自分の腕に刺さったバラを引き抜く。
『一体・・・誰がこんなふざけたマッ』
バキィッッ!!!
『が・・・はっ・・・・・・!』
吹き飛ぶ――――――!
「余りに美しいバラに魅せられたのかい?
それで荒んだ心を癒せるのなら素晴らしいね。」
「「―――――――――!!」」
ザッ。
「流れる金色の髪・・・オーシャンブルーの瞳・・・
そして、この肢体より伸びる長く美しき脚より繰り出される数々の美技を
人々は賞賛し・・・彼らは僕の名をこう呼ぶ・・・・・・蹴撃の貴公子・・・」
「「「ク、クロード・ネフェルテム!!」」」
↑一般人の反応。
(というか、俺はこんなバカな自己紹介の方が気になって仕方が無いのだが。)
(隊長・・・彼の試合登場はこれよりある意味ヒドイです。)
↑肝が据わってる人たち、クライセントやリカードの反応。
「やぁ、“君”がローテルダム騎兵隊の総隊長クライセント・クロウだね。
久々に勘を頼りにして来てみて、騎兵隊最強の男に遭遇出来たのは嬉しいね。」
正直、馴れ馴れしい。
「こちらも光栄だ。
初めまして。クロード・ネフェルテム君。(タメ口より腹が立つな。)」
「で・・・第一大隊がトルレイトに対して攻撃している所を見ると、
どうやら完全に内部対立しているのは間違い無い様だね・・・しかし・・・」
ふぁさぁっ。
「余りに嘆かわしいね・・・あのラゥムという男は。
全く以って美しさの欠片も無い。この世の全ての醜悪を凝縮した様な輩だ。」
((よくもまぁ・・・))
((そうスラスラとカッコ付けた事を・・・))
「隊長の代わりに私が聞きますが、どうしてこの場に貴方が?」
「ん・・・・・・?おお。」
バッ・・・
「―――――――――え え え?!」
手をとって、ひざまづかれているリカードさん。
「これはこれは・・・
・・・こんなに美しい女性がおられるとは・・・」
クロード暴走というより作者暴走。
「そ・・・それで、どうしてここに・・・?!」
(うわ・・・リカードさんって・・・)
(ああ・・・結構、免疫ないっぽいな。
何か・・・こう、スッゲーいいな・・・)
何がいいんだよ。
「後でお教えしますよ。」
「しかし・・・
・・・アルファンに居る君のチームメイトや」
「・・・言わないでくれたまえ・・・・・・」
ザァ・・・・・・ッ・・・・・・!
「・・・分かっているさ・・・・・・どうなっているかぐらい・・・
途中で第4大隊所属の連中とすれ違ったから、
ちゃんと助けに行ってくれたんだろうけど・・・
その話は、最後の最後にしてくれないかい・・・・・・?」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
「僕は・・・
・・・今は止まってはいられないんだ。全ての真実を知るまでは。」
「全ての・・・真実・・・?」
「・・・僕は人の下で働くのは大嫌いだけれど、その為ならば構わない。
クライセント・クロウ。
僕をローテルダム騎兵隊、第一大隊に入隊させたまえ。」
「「「―――――――――!!」」」
「そして、そのあかつきには奴らは僕がこの足で吹き飛ばす。」