ACT.83 大戦/進化する少女


数分後
「・・・・・・。
 来たぞ・・・これが第一回目攻撃の最終波だろう。」

「うん。
 それじゃ・・・さっき言った事・・・」

「・・・分かった・・・だが、生温いのではないか?」

「・・・そう思うよ。
 けど、私は軍人じゃないから、そう云う風に命を割り切る事なんて出来ない。
 自分から進んで協力しているけれど、やっぱり私は私のやり方で止めてみたい。
 それに・・・甘いことを言っていると思うけど、
 殺し合うだけが戦争を終わらせる為の条件じゃないと思うんだ。」

「・・・甘くはない。
 だが、その常識が通じない連中だ。
 けれど、俺は君に1つ賭けてみようと思う。
 君のその今からやる術で少しでも回避できるのなら・・・」


ザッッ!!


「それに越した事は無い。」

右肩から風速20〜30メートル級の風の翼が現れる。

「俺の知る2人と同じ言葉を言った君ならば、尚更な。」


        ドッッ!!!!


「す・・・ごい・・・・・・」

敵軍―――
ラゥム派騎兵隊は一瞬たじろいだかに見えたが、
そのまま特攻の合図と共に更に加速し迫ってくる。

「巻き込まれるなよ・・・!!!」



ゴ・・・・・・・・・―――――――――!!!



「ハ・・・・・・ァッ!!」


敵軍と自軍の境界線―――
そこに強力な魔力の風を送り込み、
その空間から大気そのものを抽出する―――


「この瞬間・・・!!」

そしてリノンがその抽出によって一瞬、
大気魔力も消え失せた、空虚の世界に魔力を押し込む。

「具現魔法、第壱輪舞、序!
 “平静、その名に違いし剛の者よ、今一度眼を開き刮目せよ”」


カァッッ!!!!


『『『―――――――――!!!??』』』


現れるのは閃光――――――。


「これは・・・・・・」


その指定した場に発光する球体が生まれる。


「具現魔法、第弐輪舞、追!
 “集いし二十二の閃光、天空の羽衣と化せ”」

二十二本の光が天空へと駆け上り、天が黒く染まる。
染まると同時に闇間から光が溢れ出す。

『『な・・・・・・』』 『眩し・・・い・・・!』

『これは・・・・・・?!』

(何という少女だ・・・)

(こんな超高等魔術を・・・!?)


更にその光と闇のコントラストが明確になる。


「具現魔法、第参輪舞、結!」



コォ  ォ オ   オ オ   ォオォ   ォオオ・・・・!!


(この俺ですら、この凄まじさが分かる・・・
 リノン・ミシュト・・・君は・・・)

「“されば燦々と降り注ぎ、闘争の名を虚空へ”!ワルキューレ!」


カアアアアアアッッッッッ!!!!


「「おお・・・・・・・・・」」

『『て・・・天使・・・・・・』』

“・・・・・・・・・―――――――――。”

「ワルキューレ、出来る限り・・・癒して!」

“・・・天空の羽衣・・・・・・オーロラ。”



ザァッッ―――――――――!!



「君は一体・・・・・・何者だ・・・」